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【2020年6月1日】そもそも水道週間とは?日本における水道の歴史《前編》〜水道週間特集①〜

《この記事の文字数:約3,700》

 ちょっと読み応えアリ

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日本の水道ってスゴいのだ

どうも、chimonです。

 

いよいよ6月に入り、関東では梅雨入りも間近に迫ってきました。

 

そんな今日から「水道週間」だということをご存じでしょうか?

 

当ブログでは「水道水を安心して飲めること」に感謝と敬意を表して、「水道週間特集」として水道や水に関わるトピックスをシリーズでお届けしていきます。

 

(1週間連続でやるのはちょっと飽きるので笑、たまに違うお題を挟む予定)

 

初回となる今日は、そもそも「水道週間とは何なのか?」というお話を皮切りに、日本における水道の歴史を前後編でご紹介していきます!

 

1. What's 「水道週間」?

前提として、そもそも「水道週間」が何たるか、というお話をしておきましょう。

 

日本水道協会の説明を引用すると…

国民各層に対して、水道の現状や課題について理解を深め、今後の水道事業の取組について協力を得ることを目的として毎年実施されています。 

www.jwwa.or.jp

 

よくある「〇〇について理解を深めましょう」系のお国が定めた週間の一つ、と思っておけばOK。

 

1959年から実施されているそうで、毎年6月1日〜7日とされています。

 

ちなみに、初年度は7月末に実施したそうなんですが、「7月末なんて水道局のいっちばん忙しい時期じゃねぇか!ふざけんな!」ということで、翌年から6月に変更されたということらしいです。最初から気付きなさいよ。笑

 

 

水道週間は、毎年スローガンが定められていまして、2020年のスローガンは…

「飲み水を 未来につなごう ぼくたちで」

ですって。

 

(小学生とか中学生とかに考えてもらったのかな…?)よくできました!笑

 

 

水道について理解を深める週間、ってことで、当ブログでも布教活動(?!)をしていこうという魂胆です。

 

 

そうそう、「水道」と言った場合、「下水道」などを含める場合もあります。しかし「水道週間」が指す「水道」は飲み水などを供給する「上水道」を意味しますので、今回の特集でも「水道=上水道として記していきます!よろしく!

 

 

2. 江戸時代の水道はスゴかった

(1)後北条氏って人民思いだったんだなあ

今回は「日本における水道の歴史」ということで、さっそく日本初の水道がいつできたか?というお話をしていきましょう。

 

 

一般的に日本最古の水道と言われるのが、神奈川県小田原市に作られた「小田原早川上水」です。

 

 

東京でも横浜でもなく、小田原ってのがポイント!

 

 

1545年の記録の中に、「北条氏康の誘いで訪れた屋敷の水が、早川から引かれたものだって聞いて驚いた!」というような記載があるそうで、少なくともその頃には整備されていたと考えられています。

 

約500年前には、水道が設置されていたという驚愕の事実!!

 

 

記録の中にもある通り、小田原の地は後北条氏の本拠地でした。

 

 

以前、こちらの記事で北条早雲から始まった後北条氏は、善政を敷いて勢力を拡大した」ということを取り上げましたね!

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

上の記事では「検地が北条早雲から始まった」という文脈でご紹介しましたが、なんと上水道後北条氏から始まった」ということなんですね。パイオニアだね。

 

 

(2)え、北条さん、スゴない?ウチもやっとく?

日本の水道史にとって、早川上水が果たした役割というのは大きいようで…

 

と言うのも、1590年にいわゆる「小田原征伐」で後北条氏が滅ぼされるわけですが、この際に豊臣方として参加した多くの大名たちが「早川上水スゴくね?!」ってなったみたいなんです。

 

そのうちの一人が、後に江戸幕府を開く徳川家康でした。

 

 

小田原征伐直後に関東へ移封された徳川家康は、決して肥沃とは言い難かった江戸の地を潤すため、同年に「小石川上水」という江戸初となる上水道を整備させます。

 

このスピード感を考えるに、家康的にはよっぽど「ナイスアイディア!」って感じだったんでしょうね。笑

 

「小石川」という名前の通り、現在の東京ドームあたり(小石川後楽園)から神田駿河台御茶ノ水あたり)にかけて掘られたのが始まり。

 

 

江戸時代に入って、江戸の人口が急増すると、水道需要も爆発的に増大。

 

 

すると、小石川上水も西へ西へと延伸され…1630〜1640年頃に神田上水として完成したと見られています。

 

神田上水ってのは、今で言うところの「神田川」の一部に当たりますね。

 

 

(3)江戸の六上水

先ほども触れた通り、江戸時代になると幕府の中心地となった江戸の人口が急増しました。

 

増加の勢いはかなりのものだったよう。

 

 

江戸時代初期の人口は約15万人と推定されますが、わずか100年足らず(1700年ごろ)で約80万人、1721年には推計約110万人に達していたと見られています。

 

この時期になると、ヨーロッパの名だたる都市を抑えて、江戸が世界最大の都市だったと言われているのです!

news.livedoor.com

 

人が増えりゃ、水も必要ってことで、神田上水に続いて1653〜1654年にかけて玉川上水が開削されました。

 

「玉川兄弟が必死の思いで掘削した」なんて話を、chimonは小学生時代に習った記憶があります。(chimonは以前に東京都小平市に住んでいたことがあるのだ!)

 

 

玉川上水が完成してからわずか3年後、江戸に大きな被害をもたらした「明暦の大火」が発生。中心部が焼き尽くされたことで、市街地が一気に拡大。

 

結果、さらに上水道を整備する必要が発生!その結果、神田上水玉川上水を含む「江戸の六上水」が整備されたのでした。

 

《江戸の六上水》

 

六上水を合わせると、世界最大級の上水道設備が完成したということになります。

 

 

これらの水道設備によって、江戸の市街地人口の実に6割まで水道が普及していたそうな!結構な割合だと思いませんか?!

 

 

(4)政治的思惑がプンプンするね

ところが!

 

神田上水玉川上水を除く4つの上水は、1722年に突如として一斉に廃止されてしまいました。

 

 

この原因と見られるのが、同時期に行われていた8代将軍・吉宗による享保の改革です。また、出てきた「小松菜の名付け親」こと吉宗!!笑

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

享保の改革では、新田開発が推奨されました。

 

その中心となったのが、玉川上水だったのです。

 

 

現在の多摩地域の中央を流れる玉川上水から分流をいくつも掘って、水路沿いに新田開発を進めました。

 

そうすると、当然玉川上水の水量が減ってしまいますよね?

 

 

で、「江戸の六上水」のところを見てほしいのです。

 

青山・三田・千川の三上水は、全て玉川上水から取水しているんですよね…。

 

新田開発を優先するために、これら三上水+元から水量の少なさが問題視されていた本所上水が廃止されたのではないか?という説があるようです。

 

 

水道って生命線だから、時に政治利用されてしまうのですね…。なるほど。

 

 

(5)その頃、地方では

江戸の話ばかりしてしまいましたが、全国各地の城下町でも水道の建設が進められていたようです。

 

主な例でいくと、広島福山の福山上水(1622年開削)・水戸の笠原水道(1663年完成)・鹿児島の冷水御用水道(1723年開削)などが知られています。

 

最後の冷水御用水道は、当時の藩主が江戸で育っており、江戸の水道に興味を持っていた様子。

www.city.kagoshima.lg.jp

 

要するに、小田原の早川上水、そして江戸時代の六上水が、全国の水道整備に大きな影響を与えたと見てよさそうですね!

 

 

(6)江戸時代の水道が明治初期までバリバリ現役だった!

こうして江戸時代に水道が整備されたわけですが…何がスゴいって、明治に入っても江戸時代の水道がバリバリ使われてたってことなんですよ!

 

 

例えば、神田上水からの給水が停止されたのは1901年…明治が始まって30年以上、江戸時代の水道設備を流用していたということになりますな…!!

 

玉川上水に至っては、現在でも一部が現役の水道施設として使われているんですけどね…!スゴいよね。

 

 

実は、ヨーロッパでは19世紀初頭から一足先に、水をろ過してポンプを使って配水するという近代水道が普及し始めていました。

 

日本の水道設備は最大級の規模を誇るものではあったけど、重力の力だけで各地に流していく言わば「水路」のようなものだったので、かなり前時代的になっていたのです。

 

 

そして、明治時代中頃になると、ある出来事がきっかけとなり、日本にも近代的な水道がもたらされることとなったのでした…。

 

 

ある出来事のヒントは、これ。(ほぼ答え。笑)

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

 

といったところで、今回はここまで!

 

 

《後編へ続く》

 

 

(参考URL)

宇都宮市「世界と日本の水道・下水道の起源」通史編

https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/818/kinensi06.pdf

 

www.waterworks.metro.tokyo.jp

www.shincoo.com

riverpromenade.blog.fc2.com

 

 

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