【2020年5月30日】「バチが当たる」を信じる人が増えた?!〜不安な時代に生きる日本人の心理〜
《今回の記事の文字数:約2,900》
サラッと読める
どうも、chimonです。
東京では緊急事態宣言明け初の週末となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
突然ですが、皆さんに質問です。
「何か悪いことをしたら、バチが当たる」って信じてますか?
今回は、先日読売新聞が実施した調査の結果から、不安な時代に生きる日本人の心理を探っていきたいと思います。
1. 「バチ当たり」を信じる傾向が強まっている?
まずは、この記事を書くに至った元ネタをご紹介しましょう。
■Yahooニュース(読売新聞オンライン)2020年5月28日付記事
(2020年5月30日閲覧)
削除されてしまう可能性大なので、簡単に内容をまとめておくと…
記事の中でも「調査方法が異なり、単純比較はできない」という前置きがされていますが、ここまで割合が変化しているとなると、「現代人の方が『悪いことしたらバチがあたる』というのを信じる傾向にある」と言ってよさそうです。
前回は1964年12月調査ということですから、ちょうど前回の東京オリンピック閉幕直後ってことになりますね。
オリンピック景気が一段落して、翌年の1965年には一時的に経済成長が鈍化しましたが、それでも+6.2%。人々もどんどん豊かになっていくのを実感できた時代と言えるかもしれません。
2. 考えてみれば「アマビエ」様もそうだったなあ
新型コロナウイルスが猛威をふるい始めた頃、日本で話題になった「アマビエ」。
これも、呪術的なものを信じるという点では近いものがあるかもしれません。
アマビエやそれに類するとされる「アマビコ」に関する説明は、他のWEBページを見ていただければ…wikipedia貼っときますね。笑
アマビエ自体は、豊作や疫病を「予言」する存在として考えられた妖怪でしたが、今回のコロナ流行に際しては「疫病除け」として取り上げられた感がありました。
アマビエは、江戸時代後期の瓦版で登場したということで、以前ご紹介した「大地震の際に流行した鯰絵」に近いものがあるのかも。
himekuri-nippon.hatenablog.com
で、注目したいのが、アマビエやアマビコは過去に何回か流行しているという点です。
要は、疫病などで世の中が不安定になると、神様仏様精神でアマビエやアマビコにすがるという民間信仰が受け継がれてきたようなのです。
とは言え、以前の流行は明治時代、今から約140年も前のことらしい。
上記のページによると、新聞をはじめとしたマスメディアの発達で「正確な情報を随時受け取れる世の中」になると、予言する存在であるアマビエ・アマビコの必要性が薄れ、実に140年もの間、表舞台から姿を消していました。
それが、2020年になって、新型コロナウイルスという未知なるものを前にした人々によって、再び信仰されることになったというのは実に興味深いことです。
3. 現代人は不確実性が怖い…?
(1)無知は最強
「バチ当たり」にしても「アマビエ・アマビコ」にしても、なぜ現代の日本人の心に刺さるのでしょうか?
chimonの一意見としては、現代人が「不確実性を恐れている」ことにあるのではないかと考えています。
前にアマビエが流行した明治時代、さらには「バチ当たりを信じる」という人が少なかった高度経済成長期に比べ、現代は遥かに科学が進歩しています。それは疑いようのない真実でしょう。
ただ、その分、「知らないこと」に対する恐怖感というのは増しているのではないか、と思うのです。
科学が進歩すれば、身の回りの多くのことが科学的に解明されますよね。
科学的に解明されていることであれば、対処方法も自ずと見えてくるので、人々は適切な対応をとることができます。
しかし、時に科学的に解明されていない事象が訪れることがあります。それも結構な頻度で。(所詮、科学的に解明されていることなんてほんの一握りですからね)
新型コロナウイルスの流行なんかは、まさにその一つと考えていいでしょう。
どんなウイルスかよくわからない、どうやって対処すればいいのかわからない、ってか見えないしどうしようもない。
こうなった時、古代〜中世にかけてであれば、「神に祈ろう、仏にすがろう」となったはず。
それが明治〜高度経済成長あたりになると、「これも何か科学的な事象によって起こっているのでは?早く突き止めよう!」と考えるようになったのではないでしょうか。
だから「バチ当たり」のような信仰的なものを疑い、ある意味「冷めた目」で見るような人が増えた。
ところが、科学が進歩し、情報が無数に行き交う現代だと、むしろ「科学的に解明されていないこと」の方が少数であるように感じます。(少なくとも身の回りでは)
知っていることの数が増えるほど、知らないものへの恐怖が増すんじゃないか、ということなのです。
実際「無知ほど強いものはない」って言いますからね。
知らないものに出会った現代人は、その救いを「知らないものをも超越してしまう」(=知りようもないこと)呪術的なものや信仰心に求めるのではないか、という予想。
(2)「バチが当たってほしい」ってことなのでは?
「バチが当たる」が救いってどういうこと?と思われる人もいるかもしれません。
「バチが当たる」ことを信じる人が増えたっていうのは、別に「自分にバチが当たることを恐れる人が増えた」って意味ではない、と思うのです。
むしろ「悪いことをしたらバチが当たってほしい」と思うようになったのではないか、と。
これって、SNSで最近話題になる「自粛警察」や「正義感」ともリンクするもので、自分が信じる価値観や正義に従わない人はしっかりと罰せられてほしい、という考えに基づくものなのではないかと思ったのです。
科学も政治も経済も信じ切れないけど、せめて真面目に生きている自分たちが報われる世の中であってほしい。
悪いこと・自分勝手なことをして美味しい思いをしている人には、超科学的な(呪術的な)「世界の掟」によって懲罰が下る、と信じて生きていたい。
せめてそうやって思えば、報われない中でもちょっと救われる。
そんな現代人の心理が現れている調査結果なのではないか、とchimonは考えました。
4. おわりに
今回は、読売新聞の興味深い調査結果から、chimonの持論を展開してきました。
久々のエッセイ的な記事でしたね。
これに関しては、みなさんいろいろ思うところがあるのではないかと思います。
感じ方は人それぞれ、ですから!あなたは、この調査結果を見てどんなことを感じましたか?
ぜひ、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか?
今日はここまで!!
▲ ▲
・ ・
▽
chimon