【2020年3月28日】超意訳!中学生でも読める古事記vol.6〜天岩戸隠れ編〜
《この記事の文字数:約4,700》
ちょっと読み応えアリ
どうも、chimonです。
この週末は新型コロナウイルスの影響で、お家で暇な時間を過ごしている人も多いのでは?
そこで、chimonは考えました…良質な読み物を皆様に提供できないかと…
ということで!笑
約1ヶ月ぶりとなります「超意訳!中学生でも読める古事記」シリーズをお届けします。(間が空きすぎて、もはや自然消滅かとの噂もあったとか、無かったとか)
第6回目となる今回は、かの有名な「天岩戸隠れ(あまのいわとがくれ)」!
■初めから読みたいという人はこちらからどうぞ!
himekuri-nippon.hatenablog.com
■前回分(5回目)を読みたいという人はこちらから
himekuri-nippon.hatenablog.com
※斜字:補足、もしくは原文にないchimonオリジナル解釈&ツッコミ笑
13. スサノオくん、やりたい放題
アマテラス姉さんとスサノオくんの間で行われた誓約(うけい)を終えると、スサノオくんはこんなことを言い始めます。
「ほらね、姉ちゃん、言ったでしょ?俺は潔白の身なんだよ〜。だから、俺からは力の弱い女神が生まれたのさ。これを踏まえるなら、当然俺の勝ちだよね!!」
こうして、スサノオくんは勝手に勝利を宣言したのです。
もうツッコミどころしかない感じですが、とりあえずスサノオくんの勝ちみたい。笑 実際、アマテラス姉さんも否定はしてないんですよね…何故だ…?!
勝利したスサノオくんは「俺が勝者だ!」と言わんばかりに、アマテラス姉さんが大切に営んでいた田んぼのあぜ道を断ち切り、水路を埋め…
おまけに、お米の収穫を感謝する大嘗の儀を行うための御殿の周りに、う●こを撒き散らす始末…。
これだけヒドい仕打ちをされたアマテラス姉さん、スサノオくんを大いに叱るんだろうと思いきや…
「あれよ、あれ!御殿の周りのう●こみたいなのは、きっと、えっと、スサノオがお酒に酔っちゃって、気持ち悪くなって吐いちゃっただけなのよ、きっと!」
「で、田んぼのあぜ道埋めちゃったのは、あのー、『ここは田んぼを作るには惜しい土地だよー!』ってことを示したかったからなのよ…!ね?」
といった具合に、スサノオの罪を問わず、庇うばかりだったのでした。
いやいや、アマテラス姉さん、早く締めとけ。笑
まずここには大きな矛盾が潜んでおりまして…そもそも誓約は、スサノオが「高天原(たかまのはら)に悪さをする気がない」っていうことを証明するために行われたもの。
つまり、スサノオが誓約に勝った=スサノオには邪な気持ちがない、ってことのはず。
ところが、スサノオは「勝者らしい振る舞い(原文では「勝さび」)」として、高天原で好き放題やっている。そして、アマテラスはそれを庇っている。
矛盾だらけ…!!
こういうところに、古事記が「作られた神話」とされる所以があるんですね!
せっかくアマテラス姉さんが許してくれたというのに、スサノオくんの行いは酷くなるばかり。
そんなある日、スサノオくんがとんでもない事件を起こしてしまいます。
その日、アマテラス姉さんは聖なる機織屋に立ち寄って、織女(しょくじょ:機織りをする女性)に神へ捧げる聖なる織物(神御衣:かむみそ)を織らせていました。
ここへスサノオくんが登場!
スサノオくんは機織屋の屋根に穴を開けたかと思うと、尻尾の方から皮を剥いだ天の斑馬(ぶちうま)を(持ち上げて)、尻の方から機織屋の中へ投げ込んだのです!!
これにビックリした織女は驚きのあまりすっ転んで、大事なところに梭(ひ:機織りの際、横糸を入れて通す道具のこと)が刺さって死んでしまいました…!!!
事件の一部始終を見ていたアマテラス姉さんは、スサノオを恐れて(別の説では、スサノオの行いで死者が出てしまったことに対し、自分の力量不足を反省したとも)、天の岩屋の戸を開いて、中に閉じこもってしまいました…。
14. アマテラス姉さんを取り戻せ!神々の大作戦
太陽神が閉じこもってしまった高天原は暗闇に包まれ、地上の葦原中国(あしはらなかつくに)も同様に真っ暗になってしまいました。
こうして、世の中は夜ばかりが繰り返されたのです。
神々の声は五月の蝿のごとく響き渡り、ありとあらゆる災いごとが発生しまくる緊急事態!
この事態を受けて、八百万の神々は天の安の河原にて緊急会議を開催しました。
そこで、高御産巣日神(タカミムスヒノカミ)の息子である思金神(オモイカネノカミ)は、次のような神がかり作戦を考えるのです。
オモイカネさんは今後も登場する神なので、ぜひ覚えておきましょう。高天原きってのアイディアマンです。思いつくアイディアは…人智を超えています…笑
その内容は…
- 異界に生息する長鳴鳥を集めて、コケコッコーと騒がしく鳴かせる。
- 天の石と金属を手に入れて、天津麻羅(アマツマラ)という鍛冶屋を探させて、伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト)に鏡を作らせる。
- 玉祖命(タマノオヤノミコト)に、勾玉がたくさんついた数珠を作らせる。
- 天児屋命(アメノコヤネノミコト)と布刀玉命(フトダマノミコト)に、天の香具山にいる牡鹿の肩甲骨とハハカ(ウワミズザクラ)の枝を取って来させて、これから行う「アマテラスさんに出てきてもらうためのお祭り」の内容について占いをさせる。
- 次に、天の香具山に植わっている榊を根こそぎ持って来させて、上の枝に勾玉の数珠、中程の枝に先ほどの鏡を取り付ける。下の枝には、楮(こうぞ)や麻でできた布の祭具を取り付ける。
- こうして完成した祭具をフトダマが捧げ持って、アメノコヤネが壮大な祝詞を申し述べる。
- 天手力男神(アメノタヂカラオノカミ)が、アマテラスのいる岩屋の戸の脇に隠れて立つ。
- 天宇受売命(アメノウズメノミコト)は、天の香具山のヒカゲノカズラを襷にして、髪飾りとしてツルマサキをつける。そして、手には笹の葉を結ったものを持って、天岩屋の戸の前に桶を伏せてその上に立つ。
とりあえず、こんな作戦でした。どんな作戦だよ!
神がかりした状態のアメノウズメさんは桶の上で踊り始めます。
それはそれは激しかったようで、乳房丸出し、下に履いている裳(も)の紐が大事なところまで垂れ下がっている状態で踊り続けました。
この様子を見た八百万の神は、高天原全体が震えるほどに大爆笑!!
アメノウズメのストリップで大爆笑、ってどんな状況だよ。なに笑ろてんねん!笑
外がやけに騒がしいので、気になったアマテラスさんは岩戸をちょっとだけ開けて、チラッと外の様子を伺いながら声をかけました。
「ねえ?太陽神の私が岩屋に隠れちゃって、高天原も葦原中国も暗闇に覆われているだろうって思ってたのに…。なんでアメノウズメは、あんなにハッチャケて踊ってんの?で、なんであんたらは大爆笑してんの??」
つーか、アマテラス姉さん、自分がいなくなったら世界は大変なことになるって分かってて閉じこもったんかい!!
困ったみんなが「出てきてください!お願い」ってお願いしにきて、「仕方ないなー、もう!」って出ていくことを期待してたんじゃないの?!
ただの「かまってちゃん」じゃないか!笑
アマテラスさんの問いに、踊っているアメノウズメさんはこう答えます。
「アマテラスさんよりも、すんごい神様が現れたんです!!だから、みんな歓喜のあまり笑ってるんです〜」
ここで、アメノコヤネさんとフトダマさんが、例の鏡をアマテラスさんに差し出します。
アマテラスさんが鏡を見ると、すんごい神様が映し出されていたのです。
(え…?どゆこと…?これって…私??どゆこと??)
不審に思ったアマテラスさんは、そろりそろりと戸口から出てきました!
この機会を伺って脇に隠れていたタヂカラオさんが、アマテラスさんの腕をとっさに取って、岩屋の外に引きずり出したのです!
アマテラスさんが「?!?!」となっている間に、フトダマさんが注連縄を岩屋のところに張って「はい!岩屋、封鎖で〜す!入れませ〜んっ!」と言って、アマテラスさんが二度と岩屋に戻れないようにしました。
ここが注連縄の起源と言われている、という話を前にしましたね。
himekuri-nippon.hatenablog.com
ちなみにオモイカネさんが思いついたアイディアは、色々なものの起源だらけ。三種の神器のうち、八咫鏡と八尺瓊勾玉が登場してますし、玉串・祝詞・神楽など多くの神事の原型にもなったと言われているんですね〜。
こうしてアマテラスさんが高天原に戻ってくると、高天原と葦原中国に再び明るさが戻ってきました。
八百万の神々は会議を開き、スサノオくんには責任を取ってもらうべき!となります。
神々は、スサノオくんに罰金として大量の財産を納めさせ、ヒゲと手足の爪を切って禊をさせました。
古代において、男女の性差を外見で表すのってヒゲぐらいだったんですって。だから、ヒゲを切っちゃうっていうのは、現代で言うところの去勢に近いもの。字面以上に、かなり厳しい刑罰だったみたいです。
スサノオ、再び追放。笑
15. 食物の神の悲劇
食糧が欲しかったスサノオくんは、大宜都比売神(オオゲツヒメノカミ)に「食べ物くれ〜」と頼みに行きます。
何、この急展開?って思いますが笑、どうも編纂時に後から挿入された話のようです。だから唐突感が否めないんですね。「日本書紀」では、ツクヨミとウケモチノカミで同じお話がありまして、どうやらそっちが元の神話に近い話みたい。
古事記は、何かとスサノオを荒々しい神に仕立て上げようとするのです。
スサノオくんに頼まれたオオゲツヒメさんは、自分の鼻・口・お尻からたくさんの美味しい食べ物を取り出して、いろんな料理を作り始めました。
自分の体から食べ物を出す…相手はスサノオ…嫌な予感しかしません。笑
この様子を見てしまったスサノオくん。
「ふざけんじゃねえ!コイツ、汚らわしいことしてんじゃねぇかぁあああああ?!」
ということで、オオゲツヒメさんを殺してしまいました。
あーあ。笑 嫌な予感的中。
殺されてしまったオオゲツヒメさんの身体からは、さまざまな穀物などが誕生します。
頭からは蚕、二つの目からは稲の種、耳からは粟、鼻からは小豆、陰部からは麦、尻からは大豆、といった具合。
この話の起源には諸説ありまして、一説では東南アジアでよく見られる「ハイヌウェレ神話」が元になったのではないかと言われています。
のちにカムムスヒさんが、これらを取って食物の種としたそうな。ちゃんちゃん。
要するに、これが日本における食物起源神話の一つなんですね。
《Vol.7へ続く》
次回予告!
高天原を追放され、葦原中国・出雲国に降り立ったスサノオくん。
そこで、悲しみにふけっている年老いた夫婦に出会います。
彼らは、自分たちの娘が次々と大きく恐ろしい蛇に食べられてしまったと言うのです。
最後に生き残った美しい娘、櫛名田比売(クシナダヒメ)が食べられてしまうのも時間の問題…。
スサノオくんは、クシナダヒメを救うべく恐ろしい大蛇に立ち向かうのでした…!!
次回「やる時はやる男、それがスサノオ!〜ヤマタノオロチ退治編〜」!
お楽しみに!!
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chimon
(参考文献)
・中村啓信訳注『新版 古事記 現代語訳付き』角川文庫, 2009
・山折哲雄監修、田中治郎著『新版 面白いほどよくわかる日本の神様』日本文芸社, 2013
※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。