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【2020年2月5日】緑茶も紅茶も烏龍茶もみんな兄弟〜ちょっとティーブレイクvol.3

《この記事の文字数:約3,600》

ちょっと読み応えアリ

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茶類みな兄弟。

どうも、chimonです。

 

今日は久々に、日本茶の奥深さをお伝えする「ちょっとティーブレイク」シリーズの第3弾!

 

今回は、緑茶・紅茶・烏龍茶など「お茶の種類」についてご紹介していきます。

 

基本的なお話なのでご存知の方も多いかもしれませんが、ぜひご参考までに!

 

 

1. お茶の木には2種類ある

お茶の種類についてお話しする前に、そもそもお茶の木には大きく分けて2種類あるってご存知ですか?

 

その2種類っていうのが「中国種」「アッサム種」

 

 

簡単に特徴をまとめるとこんな感じです。

 

<中国種>

  • 小さな葉っぱで、薄くて硬め。
  • 葉っぱの色は濃い緑色。
  • 高さ2〜3mほどの低木で、枝分かれが多くて幹がよく分からない。
  • 酸化酵素の働きが弱め。

 

<アッサム種>

  • 大きな葉っぱで、厚くて柔らかめ。
  • 葉っぱの色は薄めの緑色。
  • 枝分かれが少なく真っ直ぐな高木で、高さは10m以上になることもある。
  • 酸化酵素の働きが強め。

 

葉っぱや木の特徴は分かりやすいですよね。

 

最後に書いている「酸化酵素の働き」という部分は、後ほど解説します!

 

 

この2つの違い、言うなれば、お米における「ジャポニカ米」と「インディカ米」みたいなもんでしょうか。

 

 

さて、日本茶はどちらでしょう?

 

 

 

簡単ですよね?

 

 

そう「中国種」です!

 

日本茶は日本に元から植わっていた在来種で、中国種とは別なんだ!っていう学説もあるみたいですけど、一般的には中国種の一種とされています。

 

 

中国種は主に中国や日本で栽培され、アッサム種はインドやスリランカで栽培されています。

 

ちなみに、日本の一部の農園では、中国種とアッサム種の交配種が栽培されています。

 

 

諸説ありますが、チャノキ(植物の「茶」を指す場合はカタカナを用いるのが通例です)は中国雲南省付近が原産と言われており、人間と茶の歴史は中国から始まりました。

 

元は中国種がお茶のスタンダードだったんでしょうね。

 

 

対するアッサム種が発見されたのは19世紀のこと。イギリスの冒険家が、当時植民地だったインドのアッサム地方でチャノキを発見したのです。

 

ただ、発見した当初は「これ本当にチャ?」って疑いの眼差しを受けたらしいですが…そりゃ葉っぱも木も、それまでのスタンダードである中国種とは全然違いますからね。

 

 

当時のイギリスではお茶文化が根付いてきたため、中国から大量の茶を輸入していました。これが大量の銀の流出を招くことになり、どうにかインドでチャを栽培できないかと苦慮していたらしい。

 

 

でも中国種は、インドで上手く育たない…

 

 

どうしよ…

 

 

となっている時に、まさかのインドでチャノキ発見!

 

 

ってことで、イギリスはインドやスリランカで大量の茶園を開発し、自国へ持ち込んだわけですね。

 

 

結果、現在では世界的に見るとアッサム種がスタンダードに躍り出ています。

 

 

2. お茶はみんな兄弟!

(1)紅茶といえばアッサム

中国種とアッサム種の違いを説明しましたが、使われ方にも違いがあるんです。

 

 

中国や日本で栽培される中国種は、主に緑茶向き。

 

一方のアッサム種は、主に紅茶向きと言われます。

 

 

この理由が、先ほど説明を省略した「酸化酵素の働き」という部分にあるのです。

 

 

(2)発酵って言うより、酸化

茶葉は摘み取った瞬間から酸化が進んでいきます。

 

果物と一緒ですね。採った瞬間から、どんどん傷んでいく。

 

 

ただ、この時酸化酵素の働きが強い=酸化がより強く起こるのがアッサム種であり、逆に酸化が緩やかなのが中国種、というわけです。

 

 

これが重要なポイント!

 

 

ところで、緑茶・紅茶・烏龍茶はすべて同じ茶葉から生産される、というのはご存知でしょうか。

 

加工方法によって、緑茶になったり紅茶になったり、はたまた烏龍茶になったりします。

 

(同じ茶葉と言っても、先ほどから言っている通り、葉っぱの向き不向きはあるんですが)

 

 

じゃあ、何が緑茶と紅茶と烏龍茶の差を生んでいるのか?

 

 

 

この答えが「酸化の度合い」なのです!

 

 

 

要するに、酸化が進んでいない状態のお茶が緑茶であり、進んだ状態のお茶が紅茶ということ。

 

その中間が烏龍茶です。

 

 

 

だから「酸化酵素の働きが強い」アッサム種は、中国種よりも紅茶に向いているというわけ。

 

 

あくまで「紅茶に向いている」というだけなので、中国種でも酸化させれば紅茶は作れます。風味は劣りますが…。

 

「和紅茶」って売られてますしね。

 

 

そうそう、生の茶葉をお風呂に浮かべて酸化させると自家製の紅茶が作れます。

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左の茶葉をお風呂で酸化させたのが左の姿!紅茶!

 

 

それでですね…お茶の世界では酸化のことを「発酵」と呼びます。

 

 

 

ん?

 

 

疑問は持っちゃダメです。笑

 

 

【発酵】

微生物の働きで有機物が分解され、特定の物質を生成する現象。狭義には無酸素状態で糖質が分解されること。生物体はこれにより必要なエネルギーを獲得する。生成される物質によってアルコール発酵・乳酸発酵・メタン発酵などとよぶ。酒・醤油・味噌・ビール・チーズなどの製造に利用。

 

goo辞典「発酵」(https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E7%99%BA%E9%85%B5/#jn-177413)より引用

 

 

微生物の働きで有機物が分解…されてないよー?

 

生物体はこれにより必要なエネルギーを獲得…してないよー?

 

 

仕方ないんです、お茶の世界では「酸化」を「発酵」と呼ぶのです。笑

 

 

(3)不発酵茶と発酵茶

慣れるしかありません。

 

発酵です、いいですね?

 

 

お茶の中でも、酸化が進んでいるものを「発酵茶」と呼びます。

 

対して、摘んですぐに茶葉の酸化を止めたお茶のことを「不発酵茶」と呼びます。

 

 

これらを、簡単に分類してみましょう。

 

 

  • 不発酵茶(酸化してないお茶):緑茶(煎茶、玉露など)
  • 半発酵茶(酸化度合い半分) :烏龍茶
  • 発酵茶(酸化が進んだお茶) :紅茶
  • 後発酵茶(?)       :プーアル茶など

 

分類に「?」出てきちゃいましたね。笑

 

 

最後の「後発酵茶」だけ、ちょっと特殊でして。

 

これだけ、本当の意味での「発酵」をしたお茶なんですね。

 

どういうことかと言いますと、後発酵茶だけは、緑茶などを微生物の力で「発酵」させたものでして…辞書的な意味での発酵を施したお茶。

 

 

あーあ、2つの定義がごっちゃごちゃ。笑

 

 

例ではプーアル茶を載せていますが、日本では「幻の茶」なんて言われる高知県碁石茶なんかが知られています。

 

 

(4)養子的なヤツもいる

ちなみに「茶」と名前がつくヤツでも、兄弟じゃないヤツがいます。

 

あれですね、ウルトラマンの中でも「ウルトラ兄弟」じゃないヤツがいるみたいな。そういう感じ。(どういう感じだよ。)

 

 

代表選手は麦茶ですね。麦から出来た子ですから、チャとは違います。

 

コーン茶、昆布茶、ハーブティールイボスティー、マテ茶なんかも養子。笑

 

「茶外茶」なんて言うみたい。茶外茶…結局何を表している名前なんだろう…?

 

 

なお、さらなる例外が「ほうじ茶」「玄米茶」

 

ほうじ茶は読んで字のごとく「焙じたお茶」ですので、主に緑茶の茶葉を炒って淹れるお茶のことです。緑茶の派生形ですね。

 

玄米茶は、緑茶に玄米を加えて淹れるお茶。そのため家にある緑茶に玄米を加えれば、簡単に作ることができます。

 

 

つまり、彼らは異母兄弟的な感じ?笑

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我が家では3煎目が玄米茶になります。

 

3. 緑、紅…と来たら白もある

不発酵茶、半発酵茶、発酵茶という分類を解説しましたが、呼び名の「緑茶」とか「紅茶」とかって、色の名前がついていますよね。

 

お茶の見た目を表した色。

 

他の色はないの?なんて考える人がいたら、あなたは賢いお人だ!!笑

 

 

 

実は茶の起源である中国では、緑茶・紅茶含め6種類の色でお茶を分類することがあります。

 

<中国の色によるお茶の分類>

 

  • 緑茶(不発酵茶)
  • 白茶(弱発酵茶)
  • 黄茶(弱発酵茶、やや強め)
  • 青茶(中発酵茶:烏龍茶)
  • 紅茶(発酵茶)
  • 黒茶(後発酵茶:プーアル茶

 

日本ではこの内の緑茶と紅茶しか呼びませんが、中国では6色あるんですねー。へぇ。

 

 

4. まとめ

今回は、緑茶・紅茶・烏龍茶を中心にお茶の種類についてご紹介してきました。

 

ここでご紹介したのは、ほんの一部に過ぎないので、まだまだ深いお茶の世界が広がっています。

 

次回は、緑茶の種類についてご紹介していこうかな。

 

 

それでは、次回もお楽しみに!

 

 

 

(参考文献)

日本茶検定委員会監修『日本茶のすべてがわかる本 日本茶検定公式テキスト』農山漁村文化協会, 2008

日本茶業中央会、日本茶インストラクター協会監修『新版 日本茶の図鑑』マイナビ出版, 2017

 

 

※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。