【2020年1月18日】ちょっとティーブレイクvol.2〜色で楽しむ日本茶
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どうも、chimonです。
東京は小雪が舞う寒い1日ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
今日は(意外と?)大好評の日本茶シリーズ第2弾!
今回はお茶の「色」に着目していきます。
「緑茶」というくらいですから、日本茶といえば緑色というイメージがありますが、実際には品種やお茶の種類によって色が全然違うんです!
同じ種類でも淹れ方を変えれば色は変わるし…
とにかく深い「日本茶の色の世界」をちょっとでも知っていただければと思い、実験風にお茶を淹れてみました。
1. 選手入場
それでは、実験に参加するお茶の皆さんをご紹介します。
これから淹れていく順番と写真の順番が異なっていて分かりにくいのですが…
①SEI●Uの静岡県産緑茶(煎茶)
②「やぶきたやめ」(煎茶):日本の茶葉生産量の8割近くを占める代表茶葉「やぶきた」のシングルオリジン
③「あさひ」(玉露):京都で生産されたシングルオリジン
ちなみに、我が家のお茶はこちらで購入。
こだわりの日本茶を多数取り揃えている上、デザイン会社がやっているだけあってブランディングが秀逸!
オススメ!
2. ルール確認
では、さっそくお茶を淹れていくわけですが、それぞれのお茶の特徴を公平に比較するため、つぎのようなルールで淹れることとします。
<1煎目>
- 茶葉4gに対して、お湯を120ccで淹れる。
- お湯の温度:60℃
- 蒸らし時間:90秒
<2煎目>
- 1煎目の茶葉をそのまま利用し、お湯を120ccで淹れる。
- お湯の温度:80℃
- 蒸らし時間:30秒
2煎目のほうが、高温で時間が短めなのがポイント。
これは、1煎目で茶葉が開くために2煎目のほうが早くお茶の成分が抽出されるということと、アミノ酸(特にお茶に多く含まれるテアニン)のうま味を最初に感じたいということが理由。
普段の淹れ方でも、こんな感じがオススメです。ただし、本来は品種や種類によって抽出の度合いが異なるので、温度や時間は好みに応じて変えるのがベター。
温度によって抽出成分が異なる、というのは前回の記事で紹介しています!
himekuri-nippon.hatenablog.com
今回はあくまでも「実験」なので笑、全ての条件を揃えて淹れることにします。
3. 選手①「SEI●Uの静岡県産緑茶」
最初に検証するのは「SEI●Uの静岡県産緑茶」です。
「みなさまのお●みつき」というPB商品。言ってしまえば「フツー」のお茶。さっそく淹れていきましょう。
4gを測るわけですが、茶葉がフレーク状ですね。四角っぽいのがお分かりいただけると思います。
急須に入れてお湯を注ぐと、なおさらフレーク状であることがよく分かります。茎っぽい白い部分が目立つのも特徴的。
1煎目を入れ終えたら、続けて2煎目を入れて比べてみると…
ちょっと違いがわかりにくいですが、左の1煎目のほうが、色が少し濃いような感じがしますね。
よく見ると、左も右も少し濁っているのがわかります。
この色、よく覚えておいてくださいね。
4. 選手②「やぶきたやめ」
つづいて検証するのは、福岡県の茶の名産地・八女からお越しの「やぶきたやめ」です。
先ほどもご紹介した通り、「やぶきた」とは日本における茶葉生産量の8割近くを占める、言わば日本茶の代表格。
ただ、同じやぶきたでも地域や育て方によって味の特徴などが大きく異なります。
茶葉を計るわけですが、先ほどの茶葉と比べると明らかに形が違いますよね。
細くよじれた針状になっていることがわかります。一般的に、煎茶の茶葉はこうした「針状」のものが形が良いとされていて、形を整えるためにも技術がいるそうです。
で、お湯を淹れた姿がこちら。
先ほどのSEI●Uの茶葉と比べると、余計に形の違いが鮮明になります。茶葉の色も、①がモスグリーンとすると、②はもう少しライトなグリーン。
同じように1煎目につづいて2煎目を入れてみると…
これは誰が見ても、左側の1煎目のほうが明るい緑ですね!さっきのよりもわかりやすい。
さらに、特に1煎目は澄んでいることがわかります。これは細かい茶葉の欠片が少なく、成分だけが抽出されているという証拠。
2煎目は少し茶葉が柔らかくなって、茶葉そのものの組織が崩れ出ていると考えられますね。
茶葉によってこんなに違うとは…
5. 選手③「あさひ」
今までの2つは煎茶でしたが、最後の「あさひ」は京都産まれの玉露です。
高級茶として有名な玉露ですが、通常の煎茶との違いは栽培方法にあります。
玉露の場合、茶摘みをする20日程度前から茶葉に覆いを被せる「被覆栽培」を実施するのです。
細かいことはまた別の機会に解説しますが、お茶の渋み成分であるカテキンは、うま味成分の代表格であるテアニンから生成されます。この生成過程に必要なのが光合成でして。
茶葉を被覆してしまうことで光合成を抑えられるため、渋み(カテキン)が少なくうま味(テアニン)が豊富な、まったりとしたお茶ができるというわけです。
では、さっそくそんな高級茶を淹れてみましょう!
うーん、茶葉の感じは煎茶とあまり変わりませんね。栽培方法とか、一部加工過程が異なったりとかはするんですが、基本的には煎茶と同様なので変わらないのも当然?
お湯を入れても②とそんなに変わらない感じがしますが、心なしか、茶葉の緑がよりライトかな。より葉っぱが開いている感じもしますね。
で、1煎目と2煎目を入れてみますと…
先ほどの②と比べても、より黄緑に近い感じがしますね。鮮やか!
それに2煎目でも、比較的透き通っている印象があります。茶葉の加工技術が高いということなのか、はたまた玉露がこういう性質なのか…
6. ①〜③を比べてみよう
では、ここで①〜③を並べて比較してみましょう!
こうやってみると、色の違いが一目瞭然ですね。
①:1煎目と2煎目の差があまりなく、どちらも濁り気味。色は渋めの緑。
②:1煎目は透き通った黄色に近い緑、2煎目は濃い緑。
③:1煎目は透き通った黄緑、2煎目は透き通っている緑寄りの黄緑。
こういったお茶の色のことを「水色(すいしょく:みずいろ)」と言い、水色の良さというのもお茶の品質を左右する重要なポイントなんです。
②や③はお茶の色が透き通っていて、1煎目がそれぞれ煎茶・玉露の特徴的な色を発現していると言えます。
なんかまるで「芸能人格付けチェック」みたいになってますが。笑
実際飲んでみても、あきらかに①はうま味と甘味しかなく、②は同じ煎茶でも苦味や渋味をしっかりと感じました。
煎茶はうま味・渋味・苦味のバランスが重要ですから、渋味・苦味が明らかに抑えられている感じがするというのは、大衆的な徳用茶の特徴と言えるかもしれません。
(場合によっては抹茶を入れた製品もあり、そういったものは余計に甘味しか感じません)
うんうん…ここまでお茶の色に着目してお話ししてきましたが、まだ書き足りないことがあるので、「ちょっとティーブレイクvol.3」に持ち越します…!笑
次回のティーブレイクは、今回書ききれなかった成分のことや、お茶の種類(深蒸し煎茶など)を中心にご紹介していきますね。
乞うご期待!!
(参考文献)
・日本茶検定委員会監修、NPO法人日本茶インストラクター協会企画・編集『日本茶の全てがわかる本 日本茶検定公式テキスト』農山漁村文化協会, 2008