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【2020年1月6日】ちょっとティーブレイクvol.1〜日本茶は温度で姿を変える?!

《この記事の文字数:2,769》

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どうも、chimonです。

今日から仕事初めという方も多いかもしれませんが、いかがお過ごしでしょうか?

 

年始は怒涛の前後編2連続でお送りしてきました。

 

そこで、今回はちょっとティーブレイク。

年始に飛ばしすぎて疲れたってわけでは、断じてないんですよ。断じて。断じて。

 

というか、このブログにおける重要なテーマである日本茶について、少しお話ししたいと思います。

 

 

突然ですが、こちらの画像をご覧ください。

日本茶のイメージ画像

どちらも「日本茶

 

2つの飲み物が写っていますが、これはどちらも「日本茶」「緑茶」と言われるものです。

 

誰がどう見ても、全然色が違いますよね!

 

 

画像に写っているお茶のうち、左側が「急須で淹れた日本茶、右側が「ペットボトル飲料の日本茶です。

 

なぜこんなに色の違いが出るのでしょうか?

 

 

それはカテキンなどお茶内部の成分が、時間経過によって変色してしまうから」です。

 

急須で淹れた日本茶は、淹れてその場で飲むのが通常ですよね。上記の画像も急須で淹れてから、すぐにカップに注いで撮影しています。

 

 

なんでこんな話をしたかといえば、それだけ日本茶は繊細なものであり、ちょっとした変化で姿を変えてしまうもの、ということが言いたかったから。

 

 

皆さん、家に急須はありますか?

ペットボトルじゃない日本茶、飲んでますか?

 

私は日本茶を頻繁に飲むようになってから、すっかり虜になりました。この飲み物はとにかく奥が深くて、繊細で、それでいて力強い。

 

 

ティーブレイク」シリーズは、そんな日本茶の魅力を様々な角度からお伝えしていきます!

 

 

1. 「日本茶は熱湯で淹れるもの」とは限らない

 

初回となる今回は、日本茶と温度の関係についてご紹介していきましょう。

 

 

さてお正月に田舎へ帰省した時、おばあちゃんの淹れた熱い日本茶で心を癒した方もいるのではないでしょうか?

 

ポットから直接注いだ熱々のお湯で日本茶を淹れると、日本茶独特の渋味や苦味が出てきて、少しキリッとするような、それでいてどこか落ち着く味と香りが鼻の奥を突き抜けます。

 

この味・香りは、ペットボトル飲料には出せないものです。

 

 

ところで、これらの味はお茶に含まれている異なる成分によってもたらされるもの、ということをご存じでしょうか?

 

お茶に含まれる主な3つの成分と、感じる味の関係を照合すると次のような感じ。

 

(1)カフェイン = 苦味・渋味

(2)カテキン  = 渋味

(3)アミノ酸類 = うま味・甘味

 

 

つまり、熱湯で淹れた「おばあちゃんのお茶」は、カフェインやカテキンの影響が大きいということが言えます。

 

 

実は、日本茶淹れる温度によって抽出される成分が変わることがわかっています。

 

手書きのゆるい図を使って説明すると…

お茶の抽出成分と時間の関係

手書きのゆるい図

このゆる〜いグラフは、縦軸が3つの成分の抽出度・横軸がお茶を淹れる温度を表しています。

 

これを見ると、アミノ酸類は低い温度でも高い温度でも抽出度があまり変わらないのに対し、カフェインやカテキンは低い温度ではあまり抽出されず、逆に高温ではよく抽出されるということがわかりますよね。

 

グラフがテキトーすぎてわからない、っていう人はごめんなさい。笑 そういうことなのよ。

 

具体的に考えると、グラフ中のAという温度(低めの温度)で淹れた場合、お茶に含まれる成分量はアミノ酸>カフェイン>カテキン順番。

 

Bという温度(高めの温度)で淹れた場合、含まれる成分量は「カフェイン>カテキンアミノ酸の順番になります。

 

 

そう、日本茶温度が上がるほどカフェインやカテキンの抽出量が多くなり、うま味や甘味よりも渋味や苦味を感じやすくなるということなのです!

 

 

もちろん品種やお茶の種類(煎茶、玉露、かぶせ茶etc.)によっても適温というのは異なるのですが、「熱湯で淹れるだけが答えじゃない」ということは、おわかりいただけるでしょう。

 

 

2. 日本茶は変幻自在な飲み物だった!

 

これは裏を返すと、同じ茶葉でも淹れる温度を変えるだけで、いろんな楽しみ方ができるということ!

 

実際に「どんな味を楽しみたいのか」「どんなタイミングで飲むのか」によって、味や成分を変幻自在にコントロールできてしまうのです。

 

何も産地にこだわったお茶じゃなくたっていいんです!

 

私も試しに、SEI●Uの普通の茶葉で温度を変えて淹れてみましたが、20℃違うだけで全然味違いましたから!

 

西友のお茶

スーパーのお茶でも十分に違いを感じられます

 

とは言え、よくわからん!という方のために、私がオススメする楽しみ方をご紹介しましょう。(いずれもスーパーの煎茶)

 

 

(例1)朝、眠気を覚ましたいという時のお茶

  • お湯の温度は80℃〜90℃
  • 抽出時間は60秒
  • お湯120ccに対して、茶葉は4g程度

お湯の温度が高めなので、カテキンとカフェイン多めのキリッとしたお茶が出来上がります。茶葉の量を増やせば、さらにキリッとして朝の目覚めにピッタリです。

 

 

(例2)午後のティーブレイクで一息つきたい時のお茶

  • お湯の温度は60℃くらい
  • 抽出時間は90秒
  • お湯120ccに対して、茶葉は4g程度

今度はお湯をぬるめにしているので、カテキンとカフェインが抑えられ、アミノ酸のうま味や甘味をより感じることができます。私的には、一番味のバランスがいい淹れ方。

 

 

(例3)寝る前に癒されたい時のお茶

  • 水もしくは氷で淹れる
  • 抽出時間は6時間〜10時間(朝にセット、冷蔵庫に入れておくとベター)
  • 水1リットルに対して、茶葉は15〜20g(お好み)
  • 温まりたい時は、電子レンジでチンすればOK

実はどんな茶葉でも、時間をかければ水で淹れることができます。普通の茶葉でも、十分に味が出るんですよ!このお茶は、とにかくアミノ酸のうま味と甘味が凝縮されているので、今までとはひと味もふた味も違う日本茶の深さを感じることができます。

何よりカフェイン含有量が少ないので、寝る前に飲んでも安心!

 

 

3. まとめ

 

ティーブレイク初回は、日本茶を淹れる温度に焦点を当ててみました。

 

これをきっかけに日本茶を家で淹れてみよう、という人が増えたら嬉しいな、などと思っております。

 

今後も「急須がなくても日本茶を美味しく淹れる方法」「品種や産地で味わう」「日本茶の歴史」などなど、日本茶についても深く掘り下げてご紹介していくつもりです。ぜひ皆さんもお茶屋さんで、茶葉を買って淹れてみてください!

 

日本茶の奥深さにきっと感動すること、間違いなしです。

 

 

(参考文献)

日本茶検定委員会監修、NPO法人日本茶インストラクター協会企画・編集『日本茶の全てがわかる本 日本茶検定公式テキスト』農山漁村文化協会, 2008

日本茶葉中央会、NPO法人日本茶インストラクター協会監修『新版 日本茶の図鑑』マイナビ出版, 2017