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【2020年2月3日】節分の起源を探れ!〜鬼に豆まきの意味とは?〜

《この記事の文字数:5,250》

 読み応えアリ!

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字、間違えたよね。笑

どうも、chimonです。

 

今日2月3日は節分!

 

節分と言えば豆まき?恵方巻き?それとも柊鰯??どちらにせよ、かなり謎が謎を呼ぶ風習であることは確か。

 

今回はそんな節分の起源を探っていきましょう! 

 

 

1. 節分のことを知ろう

(1)節分の日付は…2月3日…?

節分の起源について触れていく前に、根本的に「節分」って何なのか、というお話を整理しておきましょう。

 

日本で「節分」と言うと、「2月3日」とか「立春の前日」っていうイメージが強いですよね。

 

 

実はこの時点で嘘がありまして…

 

必ずしも2月3日とは限らないんですよね。

 

この後解説しますが、節分というのは立春の前日=暦によって決まるものですから、当然年によって日程が変わるのです。

 

それにもかかわらず「2月3日」のイメージが強いのは、1985年以降2020年現在までずっと3日だからなんですね!

 

私は2月3日以外の節分を知らないことに…!

 

 

ところが!

 

来年2021年から、この3日固定制(勝手に命名)が崩れる可能性があるそう。

 

暦の計算上、2021年から「閏年の翌年は2月2日が節分」になるということだそうです。

 

 

ってことは、来年はいきなり節分が2月2日?!

 

知らなかったですね…

 

 

(2)節分はたくさんある

ここまで当たり前のように、節分は2月上旬とお話ししてきましたが…

 

これも厳密に言うと違うのです!笑

 

 

「節分」は、読んで字のごとく「季節を分ける日」のこと。

 

要するに、四季が移り変わるタイミングで毎回節分がやってくる…春夏秋冬すべてに節分はあるんですね!

 

二十四節気立春立夏立秋立冬、それぞれが始まる前日が節分。

 

とは言え、今や歳時記としては、立春の前の節分しか残っていませんよね。

 

 

これはなぜかというのが次の問題です。

 

 

(3)節分は大晦日だった!

なぜ立春の前の節分だけが特別視され、現在まで残っているのか。

 

その理由は、立春前の節分が大晦日だったからなのです!

 

 

ん?

 

 

 

説明が足りない?

 

 

 

そうですよね。笑

 

 

 

日本では、明治時代に現在のグレゴリオ暦太陽暦)が採用されましたが、それまでは太陰太陽暦が用いられていました。

 

旧暦=月の運行のみに基づく太陰暦、と思われる方が多いかもしれません。しかし、実際にはあくまでも「太陰太陽暦」が用いられていたのです。

 

つまり、月の運行だけでなく太陽の運行も参考にしていたということ。

 

 

これは中国から伝わったものとされていますが、中国も日本も四季がはっきりありますよね。

 

仮に太陰暦を用いてしまうと、季節と月がズレることになります。そりゃそうです。季節は太陽の位置で決まるんですから…。

 

それだと、極端に言えば「ある年の1月は冬だけど、何年か経つと1月が夏になっちゃった!」みたいなことが起こり得るわけです。

 

こうした事態を避けるために、太陰暦を基盤としつつ、太陽の運行による調整を行なっていたというわけ。

 

 

で、旧暦の1月1日(旧正月)というのは立春から一番近い新月の日」となります。

 

旧正月の前日は「大晦日」ということになりますね。

 

 

加えて、日本では二十四節気に基づく「節切り(せつぎり)」と呼ばれる暦も用いられていました。

 

こっちは二十四節気ですから、太陽の運行を基にしています。

 

節切りでは、二十四節気を12の節月に分けて、立春啓蟄(けいちつ:2020年は3月5日)までが正月となり、そこからおおよそ30日程度を1ヶ月として1年を区切ります。

 

 

最初にお話しした立春前の節分は大晦日だった」というのは、節切りの話だったんですね。

 

 

中国の旧正月は「春節」って言いますもんね。まさに読んで字のごとし、ということですね。

 

 

季節ごとに訪れる節分の中でも、特別な意味を持った立春前の節分だけが残ったのには、こんな理由があったんです。

 

 

2. 節分もMade in China.

(1)節分はいつやってきたのか

それでは、節分に行われる行事はいつどこからやってきたのでしょうか?

 

まあ日本文化の多くは、ほとんどあの国からやってきてるんですよね。

 

 

そう、中国です。笑

 

 

古くから中国の宮中では、先ほどご紹介した節切りに基づく大晦日、つまり現在の立春大儺(たいな)と呼ばれる邪気払いの行事が行われていました。

 

この大儺が奈良時代前後に日本へ伝来し、現在の節分行事に変化していったと言われています。

 

(2)鬼さん、冤罪説

中国から伝来した大儺ですが、従来は違う形式だったようです。

 

方相氏(ほうそうし)(鬼神)の面をつけた儺人(なひと)と呼ばれる役目のものが、桃の弓や葦の矢などの武具を手にして「鬼やらう」と大声をあげながら、疫病をもたらすとされた目に見えない鬼を追い払うというものである。

 

茂木貞純監修『日本人なら知っておきたい![図解]神道としきたり辞典』P70より引用

 

ん…??

 

あれ?

 

「目に見えない鬼を追い払う」…?

 

 

そうなんです。どうやら、元は鬼は目に見えないものだったようなのです!

 

 

古来、人々は災いや恐ろしいことを「鬼」として考えていました。だからこそ、目に見えないものだったわけですね。

 

 

 

ところが、方相氏のお面があまりにもおどろおどろしかったので、時代を経るにつれ、それをつけた儺人が「鬼扱い」されるようになっちゃったそうな。

 

ついには「鬼を追い払う儀式」ということで、大儺から追儺(おいな)へと名前も変えられていったのでした。

 

 

まさかの「鬼祓い」してたはずの人が、「鬼扱い」されるようになってしまった…!笑

 

完全に冤罪ではないか!笑

 

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あれ?何だか鬼さんが泣いているように…見えない。

室町時代ごろには、宮中から一般社会にも広く浸透していきました。

 

宮中行事としての追儺は江戸時代ごろに消滅しましたが、一般社会における儀式は現在まで残っているのです。

 

 

(3)豆まきは片付けが大変やねん

で、何で豆をまくのか、というのも合わせて解説していきましょう。

 

もうちょっと片付けが楽なもんで代用できませんか?って思う人も多いかもしれませんけど…笑

 

豆にはちゃんと意味があるんですね!当たり前か!

 

 

大豆を用いるというのも、古代中国の風習に由来がある模様。

 

 

中国において、五穀の中でも大豆は穀霊(穀物の精霊のこと:日本だと稲に宿る稲霊<いなだま>が代表的) が宿るとされてきました。

 

 

これはですね、陰陽五行説に由来するものらしいです。

 

 

陰陽五行説においては、世の中の万物を五行に分けて考えます。

 

五行はそれぞれ対応する色・方角・時などがありまして…一覧にすると次の通り。

 

  • 木行 − 青 − 東 − 春
  • 火行 − 赤 − 南 − 夏
  • 土行 − 黄 − 中 − 土用
  • 金行 − 白 − 西 − 秋
  • 水行 − 黒 − 北 − 冬

 

詳しくはまたの機会にするとして、これを見ると春は木行、ということがわかりますね。

 

 

ここで大切なのが、相生(そうじょう)相克(そうこく)という考え方です。

 

 

まあ言うなれば「じゃんけん」とか「ポケモンにおけるタイプの相性」とかを考えればわかりやすいかと…笑

 

 

相生とは「創造のサイクル」を表すもの。

 

「木をこすれば火が起こり、火が燃えて土に還り、土壌から金が生まれ、金はミネラルとなり水を生み、水は木を育て…」というのを繰り返すわけですね。

 

 

逆に相克とは「破壊のサイクル」を表すもの。

 

「木は土から養分を奪い、土は水の流れをせき止め、水は火を消し、火は金を溶かし、金属で木が切れる…」といった具合。

 

まさにじゃんけん。

 

 

で、先ほどの一覧を再び見ると…

 

  • 木行 − 青 − 東 − 春
  • 火行 − 赤 − 南 − 夏
  • 土行 − 黄 − 中 − 土用
  • 金行 − 白 − 西 − 秋
  • 水行 − 黒 − 北 − 冬

 

春は「木行」となっていますよね?

 

つまり、節分の翌日である立春は木行にあたる、ということになります。

 

相克において木行の邪魔になるのは、金行でした。「金属で木が切れる」ですね。

 

 

人々にとって、生命の季節である春が訪れることは嬉しいこと。それを邪魔する金行のものを追い払うことで、素敵な春の訪れをお祈りしたかった。

 

 

金行は「白」となっていますね。色が白いものは、金行。

 

 

あ!

 

 

そうです、「色が白い」大豆は金行の穀物

 

ということで、大豆をまく=外に出す=春に福が来る!と言われています。笑

 

大豆をまくのは日本オリジナルみたいですが…!

 

 

さらに「炒り豆」でなければならないそう。

 

「火は金を溶かす」ですからね。炒ることで大豆の金行を抑えるという、念押しになるわけです。

 

生豆をまいてしまうと、土から芽が出てしまう可能性があるので「縁起が悪い」とされているのだとか。

 

 

他にも「魔目(鬼の目)に豆を投げることで、魔を滅する(魔滅:まめ)」という、とっても後付けっぽい言葉遊びもあります。笑

 

 

 

ただ、特に北海道では落花生をまくのが一般的ですよね。

 

この論理でいくと…?

 

 

まあ神は懐が深いので、大丈夫なんでしょう!笑

 

そもそも中国生まれの行事だから、実際は日本の神様関係ないし!笑笑

 

 

3. 他の風習も見ていこう

(1)恵方巻きは何なのよ?

節分で豆まきと並んで想起されるのが恵方巻き」ですよね。

 

ところが、この恵方巻きの由来ははっきりしていないことが多いらしいのです。

 

 

ただ、ふとこの記事で書いたことを思い出しました。

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

上の記事では「初詣」というのが、明治以降に定着した新しい「伝統」行事であって、江戸時代には恵方詣(えほうまいり)」が行われていたという話をご紹介しましたね。

 

 

かつての節分は大晦日にあたる日だった、と考えれば繋がりますよね。

 

 

その年の恵方にお参りするというのは、節分にも通ずるものだったと考えられるわけです。

 

 

そこまではいいんですが…何で太巻きを食べるん?っていう点が問題!

 

 

ここはWikipediaでめっちゃ検証がなされているので、細かいことは省略しますが…

 

要するに分からん!笑

 

 

ただ、ここまで広がったのは1990年以降、セブンイレブンをはじめとするコンビニで全国展開したからというのは有名な話。それまで関西限定の文化だった恵方巻きが、今ではすっかり全国区になりましたとさ。

 

 

出たよ、販売戦略!バレンタインに初詣にイチゴ!!笑

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

小売業界的に2月って売上下がる時期ですからね。

 

昔から「ニッパチ(二八)」なんて言いますから。2月は年末年始の反動によって消費が落ち込むので、バレンタインも恵方巻きも苦肉の策だったんでしょう。

 

ちなみに8月は暑いから消費が落ち込む、なんて言われます。(むしろ地方の中心都市では、帰省客で売上が上がることも多いけど…これは都市化と核家族化が進んだ、近現代になってからのお話)

 

 

(2)もう一人の主役、柊鰯

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我が家でも飾ってみた…鰯いない

 豆まき・恵方巻きと並ぶ、三つめの主役が柊鰯(ひいらぎいわし)

 

「やいかがし」とも呼ばれ、柊の小枝に鰯の頭を刺したものを門戸に飾るという風習があります。

 

ちなみに、関東では豆柄(まめがら)と呼ばれる、豆を取り除いた後の大豆の小枝を添えることが多いみたい。

 

上の画像は東京のスーパーで購入したものですが、鰯の頭がない代わりに豆柄が添えられていますね。

 

 

問題はなぜ柊と鰯の頭なのか、という点なのですが…

 

これも明確な答えなし!!!笑

 

 

節分は謎が多い…。

 

 

飾る理由としては「鬼は、柊のトゲトゲと焼いた鰯の頭の匂いが嫌いだから」というものが知られていますが、その由来はよく分からないようです。

 

一つ言えるのは、かなり古い風習であるということ。

 

平安時代には、似たようなものが飾られていたようですね。

 

 

柊に関しては、陰陽道における鬼門に植えるといい植物として、昔から信じられてきました。

 

陰陽道ということは、これも中国由来ということでしょうね。

 

ちなみに表鬼門には柊、裏鬼門には南天というのが風習だそう。

 

考えてみれば、家の生垣でよく使われていますよね!

 

 

(全然関係ない話ですが、私はつい最近まで柊鰯を知らなかったのです…そんな風習があるんだ、へぇって感じでした…)

 

 

4. まとめ

今日は節分ということで、様々な風習について起源を探ってきました。

 

豆まきは比較的由来が明らかですが、恵方巻きや柊鰯はほとんど由来が分からないというのは、結構衝撃的な結果…。笑

 

よく分からないけど、ずっと残り続けているというあたり、非常に日本らしいと言えるのかもしれません。

 

 

ぜひ今日は豆をまいたり恵方巻きを食べたりしながら、「鬼扱い」されちゃった儺人に思いを馳せてみては…?笑

 

 

 

(参考資料)

茂木貞純監修『日本人なら知っておきたい![図解]神道としきたり辞典』PHP研究所, 2014

 

 

※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。