【2020年5月22日】旬を迎えた大人の味「ソラマメ(空豆・蚕豆)」について語ろうか。
《この記事の文字数:約3,500》
ちょっと読み応えアリ
どうも、chimonです。
暦の上で初夏がやってきたはずなのに、何だか寒い日が続いていますね。
「暦の上で初夏」っていうのは、こちらの記事をご覧いただければおわかりいただけるかと!
himekuri-nippon.hatenablog.com
himekuri-nippon.hatenablog.com
そんな今週、我が家に「ソラマメ」がやってきました。
恥ずかしながら、この時期が旬だということを初めて知ったわけですが…
ということで、今回はソラマメについてご紹介したいと思います。
1. ソラマメって、素敵な名前だね
「ソラマメ」って普通に呼んでますが、何だかカッコいいというか、壮大な名前だと思いませんか?
枝豆とかひよこ豆とかと比べると、「お前は、お空のお豆さんだっ!」って、カッコ良すぎませんか?!笑
ということで、最初に名前の由来を深掘りしていきましょう。
当然と言えば当然ですが、「ソラマメ」というのは日本独自の呼び方であり、漢字だと「空豆」って書くのが一般的ですよね。
豆の入っているさやが若いうちは、空に向かって伸びていくそう。
この様子から「空豆」って呼ばれるようになったんだとか。
面白い伸び方してますね!!確かに空へ向かって伸びております。
豆が成熟してくると、さや全体が重くなって頭を垂れていくらしいです。
ところで、ソラマメの漢字表記は他にもありまして。
代表的なものが「蚕豆」!
お蚕さんや!!蚕について結構語ってる、この間の記事も併せてどうぞ。
himekuri-nippon.hatenablog.com
こちらの漢字の由来は、さやの形が蚕の繭に似ているから、だそう。
上の「小満」の記事でもご紹介しましたが、この時期は蚕が繭になるためにたくさん桑の葉を食べる時期。養蚕業にとっては、とても大切な時期です。
言わば「蚕の成長期」が、ちょうどソラマメの旬と重なっていたこともあって、このような漢字が当てられるようになったようですね。
なお、「蚕」という字は「かいこ」「サン」という読み方しか紹介されていないので、完全に当て字だと想像されます。
2. 人間の古き友、ソラマメさん
ぶっちゃけソラマメって、味や香りが結構独特で好き嫌い分かれると思うんですよね。
何を隠そう、chimonも子どもの頃は苦手でした。
好きになったのは、ビールの味を覚えてからですかね。ビールとの相性はハンパないですからね!!!
好き嫌い分かれるヤツの割に、人間とのお付き合いはとても長いようです。
原産地はハッキリしないようですが、地中海沿岸〜西アジア〜北アフリカにかけての一帯ではないかと推測されています。
このエリアって、古代文明(メソポタミア・エジプト・ギリシャ)が栄えた地域と完全に一致していますよね。
ってことで、メソポタミア文明を生み出したティグリス川・ユーフラテス川沿岸地域で栽培されていた他、4000年前のエジプトでも栽培されていた痕跡が残っています。
ピラミッドからも発見されているらしい!
地中海沿岸でも盛んに栽培されていましたが、一方で「死の象徴」として恐れられていたというのは有名な話。
当時「豆=ソラマメ」というほど、広く浸透していたソラマメなのに…。
かのピタゴラスは、「ソラマメ食べたらおしまいじゃ…」と言わんばかりに、絶対に食べなかったと言われています。
ピタゴラスの死については諸説ありますが、一説では次のような話が伝わっています。
え?!笑
到底、現代の私たちには理解できないわけですが、それくらいソラマメを忌み嫌っていたってことなんでしょうね。
そんなギリシャ人の思考とは裏腹に、その後の古代ローマでも盛んに食されており、紀元前3000年以降に中国まで伝来したと言われています。
正直、正確にいつ中国へ伝来したかは謎ですが、この後日本に伝わるのは容易に想像がつきますね。笑
ちと話はズレますが…中国でソラマメと言うと、有名なのは「豆板醤(トウバンジャン)」です。
四川料理に欠かせない調味料ですが、原料は発酵させたソラマメ!
ソラマメは1000年以上前から伝わっていたと考えられるわけですが、豆板醤自体は200年程度しか歴史がないみたい。
中華料理もどんどん進化してるってことですね!
3. 文化はだいたい中国からやってくる
中国までやってきたソラマメさん。
ついに海を渡って、日本へとやってきます。
最初に日本へ伝来したのは、8世紀、奈良時代のこと。(という伝説がある)
インドからやってきた渡来僧・菩提僊那(ぼだいせんな)が、かの有名な僧・行基に渡したのが最初と言われております。
うーん…でも、行基っていろいろ伝説が多すぎて、これもあくまでも「伝説」に過ぎません。
ということで!(流した!笑)
文献上で初めてソラマメの名前が出てくるのは、江戸時代の1631年、林羅山が著した『多識篇(たしきへん)』だそうな。
だいぶ遡ったなぁ…
『多識篇』では「蚕豆」として登場しているらしいので、これが当て字だとすると、江戸時代よりは前に伝来していたと考えた方が自然ですよね。
ただ、この時代に作られていたのは、現在主流となっている大粒の「一寸ソラマメ」とは別物だったようです。
とは言え、1697年宮崎安貞によって著された『農業全書』では、「いろんな食べ方ができるし、早く育つから飢饉対策にもなるよ!」(ざっくり意訳)と記されているそうで、かなり優秀な農作物として認識されていました。
今となっては、茹でるとか、焼くとか、それぐらいのイメージしかないんですが…私だけ?
江戸時代以降、日本で栽培されるようになったソラマメ。
明治になると、ヨーロッパやアメリカからさまざまな品種が持ち込まれます。
こうしたさまざまな品種を用いて、品種改良が繰り返された結果、現在の「一寸ソラマメ」が生み出されていったのです。
4. 意外と知らないソラマメさんのプロフィール
ソラマメって、そんな頻繁に食べるイメージはありませんよね。
それこそ、旬の時期に茹でたり焼いたりして食べるくらい?
だから意外とソラマメのこと知らないなあ、と思ったので、特徴を箇条書きで軽くご紹介しちゃいます!
題して、「ソラマメさんのプロフィール」!そのまま!
(参考)野菜ナビ
- 旬は5〜6月だが、鹿児島県では年末ごろから出荷される。早い!
- 鮮度が命!収穫から3日以内に食べるべし、と言われる。
- 国産のソラマメは、ほとんどが熟す前の柔らかい豆を食べる。
- 完熟して乾燥したソラマメは、煎り豆菓子や甘納豆などに使われる。ただし、ほとんどが外国産。
- 甘く煮た豆菓子「お多福豆」や、香川県の名産品「醤油豆」もソラマメの加工品!
こうやって見てみると、意外と(なんて言ったら失礼だけど)幅広く活用されているのね、ソラマメさん!
仕事で高松を訪れる機会も多かったchimonからすると、「醤油豆」の原料がソラマメと言われてビックリ。
言われてみれば、ソラマメの形してますもんね。
他にも、豆板醤に使われているというのは先ほどご紹介した通り。
古くから息づいている豆だからこそ、全世界で幅広く活用されているのです。
茹でるか焼くしか使い道ない、なんて言ってごめんなさい!!!笑
5. おわりに
今回は、今がまさに旬の「ソラマメ」についてご紹介してきました。
あの独特な香りと味がクセになるけれど、おそらく苦手な人も多いんであろうソラマメ。
逆に独特な香り=うま味であって、そういう個性があったからこそ、古くから人間と共に歩んできたのかもしれませんね。
我が家のソラマメさんは、ニンニクとオリーブオイルで炒められ、最後にパルメザンチーズとまぜまぜされました。おいしかったよ。
スーパーでソラマメを見かけたら、長年の活躍に「ありがとう、これからもよろしくね」と声をかけてやってください。
そして、ぜひおいしく食べてあげましょう。
今回は以上!では!
(参考にさせていただいたサイト)
・野菜果物辞典「そら豆」
・野菜ソムリエHiroのベジフルポケット
・暮らし歳時記
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chimon
※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。