【2020年5月20日】今日は二十四節気の一つ「小満」〜知名度低すぎな小満の小話〜
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どうも、chimonです。
今日2020年5月20日は、二十四節気の一つ「小満(しょうまん)」。
「小満、それ何?美味しいの?」って思った人!chimonも全然知りませんでしたっ!!
アイドルグループ『二十四節気』のメンバー知名度ランキングをやったら、間違いなく最下位争いをするんじゃないか…と、勝手に思っています。笑
皆さんにも「小満」を知っていただこうという、どうでもいい使命感を持ってお送りしていきます!
1. 「小さく満足」で小満
二十四節気を毎回取り上げているわけですが、やっぱり「小満」ってピンとこない名前。
何が小さく満ちるんだか、という感じ。
まずは、小満が季節の上でどの位置にあるか、というのをお伝えしておきましょう。
小満の前の二十四節気について気になる方は、こちらの記事をどうぞ!
himekuri-nippon.hatenablog.com
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この流れを見るとわかる通り、立夏=夏の始まりから夏至の間。初夏の真ん中、ってイメージですかね。
太陽黄経60度の時となっているので、春分(0度)から夏至(90度)までちょうど2/3地点ってところです。
太陽の周期で決まっているため、毎年少しずつ時期がずれていきます。
実は、現在周期的には5月21日になる年の方が圧倒的に多いので、2020年の「5月20日」というのは少数派!さり気なくレアな年なのだ。だからどうした。
で、「小満」ってのは、どういう季節を指しているんでしょうか?
一応この時期というのは「あらゆる草木や生物が生長して、天地に満ち始めるころ」なんだそう。
「天地に満ちる」ってところから「満」って言葉が出てくるのですね。
それにしても「小さく満ちる」って、やっぱりようわからん…
と思ったら、「中国語スクリプト」の情報によると、中国での意味は『作物が膨らむもののまだ収穫はできない時期』(下記WEBより引用)なんだそう。
なるほど、これなら「満ちてるけど、満ちきってない」ということで理解できますね!
ちなみに、名前の由来について日本では別の説もあります。
それが「小さく満足」から来た、というもの。
どういうことかと申しますと、小満の時期は、ちょうど昨秋にまいた小麦の種なんかが穂をつける時期でもあるんですね。
この時期に穂をつける=何事もなく農作物が育っているということで、農家は一安心したんだそうです。
当時の日本人にとって農業は生命線ですから、無事に育ってることを確認できるっていうのは、まさに「小さな満足」だったんでしょう。
そうやって考えると、マイナーだけど素敵な名前に思えてきました…!!!
2. 小満芒種(スーマンボースー)
誰ですか?
「麻雀役」とか「四川料理」とか言った人!
これ、れっきとした気象用語なのです。
「小満芒種(スーマンボースー)」、読んで字のごとく、小満と次の二十四節気である芒種(ぼうしゅ)を合わせた言葉。
中国語読みというより、沖縄方言らしいのです。沖縄は中国の影響をより濃く受けていますから、似ている言葉も多いですよね。
どういった意味かと言うと、ずばり「梅雨で雨が最も多く降る時期」のこと。
梅雨?って感じですが、沖縄の梅雨最盛期はちょうどこの辺りなんですね。
実際に気象庁のデータを見てみると、那覇における平年の梅雨入りが5月9日ごろ、梅雨明けが6月23日ごろとあります。確かに、小満から芒種がモロ被り!
新型コロナのニュースで埋もれていましたが、今年も5月11日に沖縄の梅雨入りが発表されています。
同じ二十四節気でも、地域によってこれだけ捉え方に差があるわけです。
何なら北海道では氷点下を記録してますからね!(2020年5月20日)北海道と言えど、さすがにこの時期の氷点下は珍しいみたいですけど…
3. そう言えば桑の実食べたなぁって話
二十四節気をさらに細かく分けたものを「七十二候」というわけですが、小満最初の七十二候(初候)が…
「蚕起食桑(蚕起きて桑を食む)」
です。
中国だと「苦菜秀(くさいひいず)」と言って、苦菜がよく茂る時期、という表現をするそう。
ああ、確かに日本だと伝わりづらいわ。笑
日本版七十二候だと、字面の通り「小さな蚕が桑の葉を盛んに食べて成長しはじめる時期」ということですね。
ご存じの人も多いでしょうが、かつて養蚕業は日本の主要産業の一つでした。
明治の主要輸出産品と言えば、蚕から作られる生糸とお茶!
himekuri-nippon.hatenablog.com
生糸とお茶の輸出によって得られた外貨で、日本は富国強兵を成し遂げたと言っても過言ではありません。
考えてみれば、地図記号でも田畑と並んで「茶畑」と「桑畑」がありますもんね!
だからこそ、日本人にとっては「蚕が成長しはじめる時期」を暦にするってことは、非常に大切なことだったんでしょうね。
体長わずか数ミリだった蚕は、この1ヶ月で約6センチまで成長するそうな!すごい成長だ!!
ちょっと脱線しますが、蚕って完全な家畜化昆虫らしい。
野生化する力が失われているらしく、人間が管理する場所を出ると生きていけないんですって。
まあ、あんな白くて目立つ見た目してたら、そりゃ自然の中で暮らしていくのは難しいですわ…。
お蚕さんは、スゴく健気で従順な子なのです。
話を戻しまして…
明治〜大正あたりまでに全盛期を迎えた日本の養蚕業ですが、昭和恐慌〜太平洋戦争という流れの中で壊滅的な損害を受けます。
高度経済成長期には、再び内需が盛り上がったことで復活を遂げるのですが、結局外国産のシルクに押されて衰退。
農林水産省関東農政局の資料を見ると、平成17年から平成27年の10年で、全国の養蚕農家は約1,600戸→約360戸、繭の生産量も約650t→約130tに激減しています。
■農林水産省関東農政局「養蚕の動向」
https://www.maff.go.jp/kanto/seisan/engei/tokusan/sanchi/pdf/28kaiko.pdf
とんでもない勢いで衰退が続いているという、悲しき現実。
ちなみに、関東農政局が管轄する関東一都六県+甲信だけで、全国シェアの7割もの繭を生産しています。
そう言えば、子どもの頃住んでいた多摩地方には、大量に桑の木が残ってたなあ。
で、桑の実を食べたら、中に苦い幼虫が入ってて、束の間の昆虫食を楽しんだなあ…(遠い目
都市化が進んでいる関東地方で生産が盛んだった、というのも衰退のスピードが速い原因なのかもしれませんね…。
4. おわりに
今回は、二十四節気の中でもサブキャラ感の強い(?)「小満」についてご紹介してきましたが…
意外と日本らしさがあふれている二十四節気だと感じました。
「暦の上では…」という天気予報の言葉でしか聞かない二十四節気ですが、季節を感じるツールとして注目してみると面白いですよ!
今後も、当ブログは二十四節気を応援していきます。笑
今回はここまで!
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chimon
※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。