【2020年5月13日】ちょっとティーブレイクVol.7〜狭山茶農家さんにお邪魔しました!〜
《この記事の文字数:約3,400》
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どうも、chimonです。
久しぶりの更新となってしまいましたが…
実は昨日、ひょんなことから、狭山茶やお野菜を作られている農家さんにお邪魔して、狭山茶の摘採作業を体験させていただきました!
手摘み体験なんかはありますが、機械を使った本格的な農作業!!
学ぶことも多かったので、その様子を写真を交えてご紹介していきたいと思います。
1. 農家の朝は早いのだ
chimonが今回お邪魔させていただいたのは、埼玉県入間市でお茶を生産している「狭山茶農家 ささら屋」さん。
江戸時代から連綿と続く歴史を持ちつつ、新たな取り組みを発信し続けるお茶農家さんです!
ひょんなことから、新茶の季節に農作業をお手伝いさせてもらえることになり、喜んでお邪魔したというわけ。
8時から農作業に参加、ということで5時半起きだったのですが…
当主の中村さんご夫婦は、毎日4時半には起きて農作業をしているとのこと…夜は9時〜9時半あたりには寝てしまうのだとか。。
農家さん、朝早い!!!!
「慣れれば大したことはない」というお話でしたが…やっぱり凄いです。尊敬です。
そんな早朝から農作業をしているだけあって、実質的な労働時間は一日10時間程度。
「一般的な会社員が毎日2時間残業しているようなもの」とおっしゃっていましたが、労働の質が全然違うのです。スゴい。
2. 機械化はいいけれど…
ささら屋さんで生産している茶葉は、主に「やぶきた」「さやまかおり」の2品種。
午前中は「さやまかおり」、午後は「やぶきた」の収穫を体験させていただきました。
※編集の都合上、画像は必ずしも順番になっていません…!
「やぶきた」は、日本茶の作付け面積の3/4を占めると言われる、超メジャー品種でしたよね。狭山地方でも盛んに作られています。
himekuri-nippon.hatenablog.com
一方の「さやまかおり」は、その名の通り、ここ狭山地方で誕生した品種。寒さに強く、狭山茶に限らず全国的に生産されている品種です。
これもその名の通り、強い香りが特徴で、「やぶきた」と同様に収量(収穫できる茶葉の量)が多いという優秀な品種!
お茶摘み体験なんかだと、今でも「茶摘み=手摘み」というイメージがあるのですが、手摘みはとっても大変…。
他の農業と同様、茶摘みも大きく機械化が進んでいます。
中でも、効率が良いとされているのが「乗用型摘採機」!
上の画像を見ると、機械の右上部分に運転席的なものがありますよね?
ここに乗って操作しながら、茶葉を摘んでいくわけです。
農家さんの粋な計らいで、自分も人生初の摘採機操作を体験してきました!その様子がこちら!
機械の先端に刃がついていて、設定された高さより上の部分の茶葉を次々と摘採。
風の力で後方の袋に飛ばして、袋に茶葉が溜まったら、袋ごと手で運ぶという流れです。
操作方法自体はシンプルなんですが、キャタピラで動くので、いかんせん可動範囲がよくわからない!!
車とは一味も二味も違う操作感なので、慣れるまで苦戦します…。
さっそく、乗用型摘採機を使い始めると問題発生!!
刃のところで茶葉がつまってしまい、摘み残しが大量に発生してしまったのです。
結果、袋と刃の間に手を突っ込んで(よい子は真似しないでね)、つまった茶葉を取り除きながら作業を進めることに…
これじゃあまりに非効率なので、急きょ、段プラ(詳しくはリンク参照!)を貼り付けて滑りを良くするという対策が施されました。
おまけに、地形によって使えない茶畑があったり(例えば傾斜地や畝の間が狭い場所など)、途中までしか摘採できない畝があったり(道路の溝、電柱がある場所など)…
残った場所は「二人用可搬型摘採機」という機械で、半分アナログな収穫をせざるを得ないのです。
ここが面白いところで、どんなに機械化が進んでも、人の力や知恵が必要になる場面があるってことなのです。
と言うか、大型で便利な機械を入れようとすると、それに合わせた畑を整備しなくてはならないという手間が発生します。
当主さん曰く「農家になる人は、機械が好きな方がいい」らしい。
なるほど…意外な農家の姿を見た気がします!!
3. 茶葉を運ぶよ、工場に。
製品としてのお茶の特徴と言えば、加工のステップが複雑なことが挙げられます。
言うまでもないことですが、摘んだままの茶葉は商品になりません。
あっという間に酸化が進んでしまうので、摘採したらなるべく速やかに「荒茶(あらちゃ)」という一次加工品にする必要があるのです。
そのため、収穫した茶葉がある程度溜まったら、近所の契約工場に持ち込んで荒茶に加工します。
かつては、茶農家が自らの工場で荒茶まで加工することが多かったそうですが、現在では専門業者が加工を請け負っている場合も多いみたい。
生葉を荒茶に加工するには、ざっくり「蒸す→揉む→揉む→揉む」(笑)といった何段階もの工程が必要です。
一つひとつの工程に専用の大型機械が要るため、荒茶の製造工場は初期費用や維持費がかなりかかるんですね…!
そのため、ある程度の規模がある農家でない限り、専門業者に委託したほうが効率がいいのでしょう。うんうん。
機械で摘んだ茶葉をトラックに載せて工場へ運ぶわけですが、実際の収穫量は午前だけで250kg。
これだけの茶葉を運ばなきゃならんわけですから、その労力ったらかなりのものです!
茶葉がたっぷり入った重い袋を次々と運ぶ農家さん…やっぱり凄い…!!!!!
4. 東京から最も近いお茶の名産地・狭山地方
chimonの故郷でもある、埼玉県の狭山地方。
所沢市・狭山市・入間市にまたがる地域は「狭山茶」の主産地です。
中でも、入間市は最大の生産地として知られます。
(狭山茶の主産地が入間市で、航空自衛隊入間基地の住所は狭山市、という不思議。笑 狭山市の中心部の地名は「入間川」であり、狭山市・入間市両方に「狭山台」という地域があります。あ、入間市立狭山小学校という学校もあります。カオス。)
狭山茶は「色は静岡、香りは宇治、味は狭山でとどめさす」と言われるほど、質の高いお茶。
ただ、東京から近くベッドタウン化が進んだ地域のため、栽培面積や生産量は限られているのが実情です。
しかし!
今回、入間市内の狭山茶生産が盛んな地域を車で通過したのですが…
いやいや、結構な茶畑っぷり!!
近くで育った割に、ここまで茶畑が広がっているとは知りませんでした…。
茶畑の上についている風車は「防霜(ぼうそう)ファン」と言います。
空気をかき回し、上空のあったかい空気を地表に送り込むことで、作物の霜害を防ぐために設けられているもの。
お茶にとって霜は大敵なので、狭山地方のような寒冷な地域では、このファンを使って霜対策をしているのです。
池袋や新宿から電車で40〜50分の地域に、これだけのお茶産地があるんですよ!!
是非とも「狭山茶」をよろしくお願いいたします…!笑
5. おわりに
今回は、入間のお茶農家「ささら屋」さんにお邪魔したわけですが…
この経験を通じて何より感じたのは、「農家さんってスゴい!」ということ。
たった一日、ちょっと体験しただけにもかかわらず、腕を中心に体がバキバキです。笑
いかに普段自分の体を使っていないか、ということを痛感させられます…。
とは言え、今回体験できたのは収穫という、農業において言わば「一番美味しいところ」だけ。
当たり前のように消費しているお茶や野菜は、年間を通じて農家さんが一生懸命手塩にかけて育てた成果物なのです。
「ささら屋」さんのご主人とお話しする中で、印象に残った言葉があります。
「農家の皆さんは、とても真面目な人ばかり。愚直に農業を頑張っていて、誰も何一つ文句を言わない。」
ひたすらに「いい物を作りたい」という思いで、愛情いっぱいに育てているのです。
新型コロナの影響が続く世の中ですが、テイクアウト主体になったとしても、そこに使われる食材を作っている農家さんが必ずいます。
普通に暮らしていると忘れがちな、農家さんの大切さをあらためて感じる機会になりました。
日本の素晴らしい食文化は、日本の素晴らしい農家さんたちが支えてくれている。
感謝ですね。
なお、作業の後には、立派な春キャベツと赤かぶをいただきました!!
これが…まあ美味しい!!!
あらためて「ささら屋」さんに感謝!
狭山茶、本当に美味しいので、ぜひ試してみてくださいね。
今日はここまで!
(参考文献)
・日本茶検定委員会監修、日本茶インストラクター協会企画・編集『日本茶のすべてがわかる本 日本茶検定公式テキスト』農山漁村文化協会, 2008
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