【2020年5月8日】「沖縄名物」と称される海ぶどう〜実はとっても不思議な生物だった!
《この記事の文字数:約3,300》
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どうも、chimonです。
GW期間中、お取り寄せで我が家にある食材が届きました。
それが「海ぶどう」!
ほとんどの方がご存じかとは思いますが、沖縄料理屋に行くと必ずと言っていいほどある、プチプチ食感が特徴の海藻です。
個人的には結構好きなんですけど、それにしても不思議な生物だよなあ…と思い…
調べてみましたよ、海ぶどうのこと!!
ちょっとマニアックだけど、かなり面白い生物だということが判明したので、変わり種と思ってお付き合いいただければ幸いです。
(一応カテゴリは「日本食」としてます。笑)
1. そもそもお前、誰やねん?
「海ぶどう」って呼んでますけど、あくまでもあだ名でして。
本名は「クビレズタ」と申します。
字面の通り「クビレのあるツタ」っていう意味からつけられており、元の和名は「クビレ【ヅ】タ」だったらしい。
それが、2000年から「クビレズタ」って表記に変わったんですって。「ヅ」の方がよくないですか?笑
その形から「グリーンキャビア」なんて呼ばれることもあります。
グリーンキャビアとモノホンキャビアを、クラッカーに乗せて食べ比べるという、真面目にとってもお馬鹿な記事を発見したのでリンク貼っときます。(chimon的には大好き)
話を戻して、海ぶどうことクビレズタは、イワズタ科イワズタ属に分類される海藻の一種です。
イワズタ属には他にも種類があって、日本列島の沿岸では25種程度が確認されているそう。下記のページで紹介されている「フサイワズタ」も、何だか海ぶどうに似た作りをしていますね。
実際、漁師の中にはフサイワズタを食べる人もいると書かれています。
2. 海ぶどうに関する衝撃の事実
ここまでは、海ぶどうの基本に関するお話。
で、海ぶどうのことを調べていると、ある衝撃の事実にたどり着いたのです。
それが…
ということ!
単細胞生物と言えば、アメーバやゾウリムシなど顕微鏡でしか発見できない、マイクロレベルの生物ってイメージがありますよね。
身体全体が一つの細胞でできているわけですから、普通に考えて身体を大きくできないはずなのです。
細胞壁がない=体を支えられない、というわけですね。
しかし、海ぶどうは匍匐茎(ほふくけい:ランナーとも言う)と呼ばれる茎が、長くて2〜5mまで伸びます。
ランナーからは直立して茎が生え、そこに球状の枝が生えている作り。人間は、この部分を食用にしています。
となると、数メートルもの個体が一つの細胞で構成されていることになるのです!
人間の細胞で最大級と言われる卵子ですら、一般的に約0.1mm程度と言われていますから、海ぶどう細胞がいかに大きいかおわかりいただけるかと思います。
単細胞というだけあって遺伝子構造も単純らしく、ゲノムサイズ(遺伝情報の規模)は養殖・栽培されている農水産物の中で最小クラスなのだそうです。
それにしては、結構複雑怪奇な形してますよね…。
3. 何だかすごいぞ、海ぶどう!
こうなると大きな疑問が湧いてきます。
海ぶどうは単細胞にも関わらず、どうやって複雑かつ大きな身体を作り出しているのか?ということ。
この点に関して、実はつい最近大発見があったのです。
なんと2019年、沖縄科学技術大学院大学の研究チームが、海ぶどうの全ゲノムの解読に成功しました!
海ぶどうのゲノム解読なんてマニアックなニュース、全然知らなかった…笑
この記事によると、やはり海ぶどうは、通常の生物が複数の細胞で役割分担しながら成し遂げていること(大きな身体の生成・維持)を、たった一つの細胞でやっているということらしいのです。
ウルトラエリート単細胞。
ただ、細胞が一つなだけであって、その中にたくさんの核を持つ「多核体」なんですね。
多核体は、海ぶどうのような緑藻類の他、菌類などでもみられるもの。
多細胞生物では、細胞が成長すると細胞ごと分裂するわけですが、多核体においては細胞核だけが分裂していきます。
つまり、海ぶどうは単細胞でありながら、一つひとつの粒やランナーにそれぞれ核が存在しているということです。
さらに面白いのが、細胞核に「遺伝子のスイッチ」的なものが備わっているということ。
どゆこと?って感じかもしれませんが、人間を含む動物や陸上植物には「ホメオボックス遺伝子」と呼ばれる遺伝子が存在します。
簡単に言えば、「ここの細胞は足ね」「こっちは手ね」「ここは心臓!」みたいな感じで、それぞれの細胞が正しい器官になるよう作用する遺伝子のこと。(専門家ではないので、細かいことは調べてください。笑)
海ぶどうの場合、ホメオボックス遺伝子は存在しないのですが、代わりにスイッチ機能を担うような物質を持っているというわけなのです。
へぇ。
おまけに、細胞核を取り囲む「核膜」が特殊な構造になっていて、遺伝子のスイッチ機能を担う物質を、選りすぐって取り入れることができるんだそうで…
こうすれば核だけでも、その場所にあった構造に分化していけるってことなんですね。
いやいや…海ぶどう、めっちゃ凄くないですか?!笑
4. 食文化的にも不思議だらけの海ぶどう
海ぶどうが、生物学的にとっても不思議な存在だということがわかっていただけましたよね?
ちょっと話題を変えまして、次は食べ物としての目線で見てみましょう。
冒頭でもお話ししましたが、海ぶどうと言えば、沖縄料理店で出てくるイメージがありますよね。
というか、それ以外で見たことない。
和食や外国の料理で見かけた試しがない…。
ってことは「海ぶどう=沖縄の伝統食」なのでしょうか?
ところが!
沖縄の人はむしろ「海ぶどうってあまり食べない」らしいのです。(伝統的に、なので、今は食べるかもしれませんが)
沖縄の中でも、宮古島では昔から珍味として食用にされていたらしいのですが、本島ではあまり知られていなかったみたい。
それもそのはず、海ぶどうはもともと宮古島あたりが生息の北限らしいのです。
宮古島より南の海域が産地だったんですね…。
平成の時代に入り、先進的な取り組みを続ける恩納村漁協が海ぶどうに注目。
海ぶどうの養殖研究を開始し、1994年に海ぶどう生産部会を設立。本格的な養殖に漕ぎ着けたというわけなのです。
よって、今「沖縄産」として売られている海ぶどうは、ほとんどが養殖物。
衝撃的なのが、「海ぶどう」って言ってるのに、養殖場は陸上にあるということ!!こちらのページをぜひ見てほしいのですが、完全にハウスや。。笑
養殖された海ぶどうを観光客向けに販売したところ、沖縄土産として大ヒット!
結果、沖縄食材として広く知られるようになったということなんだそうです。
要するに「観光客から広まった沖縄名物」であって、地元で親しまれていた食材ではないということ…。マジか。
しかも、東南アジア産の天然物や海で養殖した海ぶどうが出回っていて、一部では「沖縄産よりも安くて美味い」なんて噂もあります。
日本で海ぶどうが人気になったこともあり、現在ではベトナムやタイでも食べられるようになってきているとのこと。
欧米でもスーパーフードとして取り入れる動きが、わずかながら見られるみたいですね。
いつの日か、旅行先で海ぶどうを見る日が来るのかも…?
5. おわりに
今回は「海ぶどう」というマニアック、かつ日本文化なのか微妙なネタを掘り下げましたが、意外と面白かったですよね?
海ぶどうに限らず、日本で食べられる食材の中には「これ何だ?」というものがあるような気がします。
今後も、どんどん取り上げていきたいと思いますので、リクエストも募集中です。笑
海ぶどうを食べる際には、「単細胞の細胞核をたくさん口に含んだ」とか「宮古島の珍味だった」とか、思いを馳せながら食べたらありがたみが湧くかもしれません。
今日はここまで!
(参考URL)
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chimon
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