【2020年5月4日】激動の「みどりの日」と「昭和の日」〜君は一体なぜ「みどり」なんだい?
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どうも、chimonです。自粛GWも折り返し地点。
もはやずっと家にいるので、GW感もほとんどないのですが…。
そんな今日5月4日は「みどりの日」。
数年前までは「国民の休日」という謎のお休みだった、というのは記憶に新しいところではないでしょうか?
そこで、今回は「みどりの日」の由来や、休日をめぐる激動の(?)歴史について紐解いていきます。
1. 多くの祝日は日程に意味があるのだけど…
日本には「国民の祝日に関する法律」の中で定められた祝日が16あります。(2020年現在)
大体が戦前から祝祭日として定められた日の名残りだったり、あるいはもっと前の時代から続く節句だったり、といった謂れがあります。
例えば「成人の日」を例に挙げれば、かつての男性における通過儀礼だった「元服」が行われた日が1月15日だったから、という理由がありました。
himekuri-nippon.hatenablog.com
「ハッピーマンデー制度」で、由来に関係なく日程が変動するようになっちゃったんですけどね…。
他にも「春分の日」「秋分の日」や明日5月5日「こどもの日」は、暦によるもの。
himekuri-nippon.hatenablog.com
一見「何のこっちゃ?」と思う「海の日」(7月第3月曜日)も、元の日付である7月20日は、明治天皇にまつわる史実に基づく「海の記念日」がルーツ。
ただ、現行の祝日には2つだけ、日付に大した意味がない祝日ってのがあるのです。
それが、本日5月4日の「みどりの日」と、8月11日の「山の日」!
「山の日」は、2016年に制定された現行一番新しい祝日です。
この2つの祝日に共通するのが、「大型連休を構成するために設定されている」ということ。
「みどりの日」についてはこの後細かくお話ししますが、「山の日」はお盆に入る直前の祝日です。ここを休みにすることで、お盆の連休を取りやすくするっていうのが設立の目的でした。
「山の日」制定にあたっては、6月上旬や海の日の翌日なんて案もあったそうですから、いかに日程はどうでも良かったかってことがわかりますよね。笑
さらに、当初は8月12日を想定していたものの、この日が1985年に「日航ジャンボ機墜落事故」の発生した日であるため、「事故現場である『御巣鷹山』を想像させる」として日程が前倒しされたという経緯つき。
今もなお、山の日って要るの?という議論はあるそうな。
2. 君は何で「みどり」なんだい?
で、問題は「みどりの日」です。
「日付に意味がない祝日」と言いましたが、正しくは「元々は日付に意味のある祝日だったけど、意味を奪われてしまった祝日」と言った方が正しいでしょうね。
「みどりの日」が初めて制定されたのは、1989年のこと。
平成元年ですね。
冒頭でもお話しした通り、1989年の制定から2006年まで「みどりの日」は4月29日でした。
ご存じの方も多いと思いますが、4月29日は昭和天皇の誕生日。
平成に変わるまでは、この日が「天皇誕生日」としてお休みでした。
それまでの天皇誕生日は普通の平日に戻されるのです。(実際、令和に改元された2019年度は、天皇誕生日が上皇の誕生日である12月23日から、今上天皇の誕生日である2月23日に変更されました。)
通常であれば4月29日も、昭和天皇崩御とともに平日になるはずだったんです。
ところが!
これに先立つ1985年「国民の祝日に関する法律」が改正され、憲法記念日と子どもの日に挟まれた5月4日を「国民の休日」とすることで、5月3〜5日が三連休となります。
さらに、5月1日はメーデーということで休日になる企業も多かったため、4月29日はゴールデンウィークの大切な構成要素になっていたのです…。
ということで、天皇誕生日じゃなくなっても祝日にしよう!という流れが生まれたのでした。
じゃあ、何で「みどりの日」なの?って話。
その理由は、昭和天皇が生物学者として植物の研究をしていたから。
那須や須崎の御用邸周辺の植物研究を熱心に行っていたようで、研究論文も発表されています。
法律上は「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」日らしい。
■e-Gov法令検索「国民の祝日に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC1000000178
ってことは、「4月29日がみどりの日」というのにはれっきとした理由があった!という話ですね。
3. そして全然関係ない5月4日へ
かくして4月29日に制定された「みどりの日」。
しかし、「国民の祝日に関する法律」が2005年に改正(実際の施行は2007年)されたことで、「みどりの日」はそれまで「国民の休日」だった5月4日に変更されます。
なぜこんなことをしたかと言うと、1985年の法改正で5月3日〜5日が三連休となったものの、5月4日は言わば「暫定の休日」状態。
仮に日曜と被ってしまっても振り替えられることがなく、年によってはちっとも連休が長くならないのです。
「日本にも長い連休を!」と考えていた政府からすると、5月4日を祝日にすることで、振替休日の設定を可能にして、ゴールデンウィークを大型連休にする狙いがあったというわけ。
同時に、5月3日〜5日のいずれかが日曜と被った場合には、5月6日を振替休日にするという内容も盛り込まれました。
2020年は、正にそうなってますよね。
残された4月29日が「昭和の日」へと変更されたのは、皆さまご存じの通りです。
勝手な都合で日程を変更された「みどりの日」の気持ちになると、何とも複雑じゃないですか…?笑
だって「昭和天皇が植物に造詣が深かったから」って理由で、昭和天皇誕生日の祝日を残すために立ち上げられたのに、今度は「あっちの日を祝日にしたいから異動!(笑)」と簡単に動かされる…。
「みどりの日」からすれば、「所詮、オレはコマだよ」って言いたくなりそう。笑
この記事を読んだあなたは、せめて「みどりの日にはちゃんと由来があったんだ」ってことを知っておいて欲しい。
そして、5月4日に望まぬ異動をさせられた社員「みどりの日」に思いを馳せて欲しいのです…緑を大切にしよう…。笑
4. おわりに
今日は「みどりの日」の激動の人生(?)についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
2020年は東京オリンピック(延期になったけど)に合わせる形で、海の日・山の日・スポーツの日(体育の日から名称変更)が日程変更になるなど、祝日イレギュラーイヤーというべき状況です。
つまり、祝日って政治的判断で、結構コロコロ変わるものということ。
ある意味「みどりの日」は、その最大の犠牲者(功労者)と言えるのかもしれません。
ゴールデンウィークの中の1日で終わらせず、みどりの日を可愛がってやってください…笑
今回は以上!
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chimon
※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。