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【2020年4月25日】「オンライン帰省」を推奨?!そもそも「帰省」って何だ?

《この記事の文字数:約3,300》

 サラッと読める

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ステイホーム。うちはマンションだけど。笑

どうも、chimonです。

 

新型コロナの影響が続く中、ゴールデンウィーク(GW)がスタート。

 

通常は多くの観光客で混雑する新幹線も非常に低い乗車率で、連休中の臨時列車を全て運休するという話も出ていますね。

 

そんな中、安倍首相が推奨しているのが「オンライン帰省」

www.itmedia.co.jp

 

こうやって言われると、「何で帰省するんだ?」「そもそも帰省って何だ?」という疑問が湧いてきてしまい…

 

じゃあ、ついでにGWについても知りたいなーってことで…

 

 

調べてみました!!笑

 

1. 帰省とは何ぞや

まず、当たり前のように使っている「帰省」という言葉の意味を紐解いてみます。

 

 

ふと考えると「帰って省みる」って何のこっちゃ、よくわからん言葉だなーって思ったんですよね。

 

 

故郷に帰る、っていう意味では「帰」って字はいいんです。

 

どうやら問題は「省」って漢字の方にありそう。

 

 

で、「省」という漢字の意味をあらためて調べてみました。

 

■漢字・漢和辞典-OK辞典

okjiten.jp

 

このページの解説によりますと…

 

色々な意味がある中の一つに「省みる」というものがあります。

 

さらに細かくみると、次のような意味があるんだそう。

 

 ①「かえりみる」
 ア:「注意して見る」、「よく調べる」
 イ:「自分の心を振り返って反省する」(例:内省)
 ウ:「たずねる」、「安否を問う」、「見舞う」(例:帰省)
 エ:「訪問する」

 

『漢字・漢和辞典-OK辞典』より引用

 

あ!帰省あった!!

 

「省」という字には「安否を問う」とか「見舞う」とかいう意味があるんですね〜。

 

 

つまり、帰省というのは「故郷に帰ること」ではなく、「故郷に帰って、親の様子を見舞いに行くこと」を指す言葉なのです。

 

 

「故郷に帰ること」そのものを表す場合、「帰郷」や「里帰り」といった言葉を使うのが一般的。

 

こちらのページで、わかりやすく説明されていました。

chigai-allguide.com

 

 

あらためて「帰省」の意味を考えると、「オンライン帰省」ってちゃんと本質を押さえてるってことになりますよね。

 

オンラインだろうが何だろうが、故郷にいる親の様子を見舞ってあげることが「帰省」の本質なのです。

 

 

2. 帰省は江戸時代からの伝統だった!

次に湧いてくる疑問が、「帰省って何で始まったの?」というもの。

 

そもそも親と子が一緒に住んでいるのが当たり前であれば、帰省なんてものは必要ないわけで。

 

子どもが親元を離れて働く、もしくは家族を築くっていう状況がない限り、帰省が定着するはずもないのです。

 

 

ということで、chimonは核家族化に原因があるのでは?と推理。

 

きっと労働者が増えた大正時代あたりからポツポツ出始め、交通事情も整い始めた高度経済成長あたりから本格化…くらいに考えていたんですが…

 

 

全然、違いました。笑

 

 

 

なんと、帰省のルーツは江戸時代に遡るようなんです!

 

 

 

帰省の原型と考えられているのが、江戸時代に都市部の商家で定着した「薮入り」という風習。

 

江戸時代になると、商家に住み込みで働く年季奉公が一般化します。特に子どもが行う年季奉公「丁稚奉公(でっちぼうこう)」と言いました。

 

丁稚奉公は、ご存知の方が多いのでは?

 

 

住み込み労働者たちの多くは、地方の農家出身。子沢山の農家では、長男以外の子どもが奉公に出されるっていうのが通例でした。

 

彼らは故郷から離れ、一人都市部の商家で働いていたというわけ。

 

 

そんな彼らにも年2回だけ、実家に帰ることを許された日がありました。

 

これこそが「薮入り」です。

 

 

薮入りは、旧暦1月16日と7月16日。

 

なぜこの日付かと言うと、それぞれ前日の1月15日が小正月、7月15日がお盆という重要な祭日だったから。

 

 

薮入りを設けることで、一泊二日で実家のお祭りごとに参加できるよう配慮したんですね!

 

 

 

今でも「盆と正月が一緒に来たよう」なんて言いますが、この薮入りから生まれた言葉なんだそうです!

 

へえ。

 

 

この後ご紹介しますが、江戸時代って基本的にあまり休日という概念がありませんでした。

 

 

とは言え、神社などで祭礼が行う日=祭日や、以前にご紹介した「五節句」などは実質的な休日だったようですが…

 

五節句はこちらの記事でご紹介しました。

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

 

どちらにせよ、休日がとても少なかったのは事実。

 

なので、実家に帰れる貴重な休みである「盆と正月」は、それだけ待ち遠しい存在だったんでしょう。

 

 

明治に入って新暦になってからも、日付が新暦に改められて薮入りは続けられました。

 

 

むしろ、大正時代に労働者の数が増大すると、ますます薮入りは盛大になっていったのです。

 

 

薮入りに変化が見られたのは戦後のこと。

 

 

労働基準法の制定で日曜日が休みとなり、通称「祝日法」で国民の祝日が設けられ…という流れの中で、薮入りの意義が薄れていきました。

 

 

ただ、年末年始やお盆の時期に帰省ラッシュが発生するのは、まさに薮入りの名残と言っていいでしょうね。

 

 

GWは祝日法によって新たに誕生した連休なので、薮入りから発展した「長い連休には故郷に帰ろう」という考えが、後から定着したってことみたいです。

 

 

3. ところでGWはどこからやって来た?

帰省の成り立ちがわかったところで、GWが何者か、という点もチラッと解説していきましょう。

 

 

先ほどご紹介した通り、そもそも江戸時代まで、日本では法定休日がありませんでした。

 

お役人は定休日があったみたいですが、庶民たちは「お祭りの日や節句に休む」というのが慣習。

 

農家だと「天気が悪い日はお休み!」っていうのもあったようです。

 

 

これだけ聞くと「江戸時代から日本人は働き過ぎだったのか…!」と思う人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありませんでした。

 

 

休みが無い分、普段の働き方がゆとりだらけだったんです。笑

 

 

労働時間は朝から夕方まであっても、10時の小休憩・昼食休憩・14時の小休憩…みたいな感じで、休憩がたくさんありました。

 

保育園か!!!笑

 

 

もちろん奉公人は、もう少し働いていたみたいなんですが、それでも余裕のあるスケジュールで過ごしていたのです。

 

 

意外!

 

 

こういう状況に変化が訪れるのは、労働者という概念が生まれてから。

 

これも先ほどご紹介した大正時代あたりから変化が生まれ、戦後体制の中で決定的になります。

 

 

労働者が増えたからこそ、あらためて労働時間や休日を定める必要が生じたと考えられますよね。

 

 

1948年に国民の祝日に関する法律」(祝日法)が制定され、全部で9つの祝日が定められました。

 

 

この中に、天皇誕生日(4月29日:現在の「昭和の日」)」「憲法記念日(5月3日)」「こどもの日(5月5日)」が含まれていたのです。

 

祝日法制定時から、4月末〜5月頭にかけては休日が集中していたってこと。

 

 

これをGWと呼ぶようになったのは、映画業界がきっかけっていうのは有名な話ですよね。

 

 

1951年、当時期に公開された映画「自由学校」が、盆や正月といった大型連休の映画を超えるヒットを記録。

 

「こりゃ!映画にとってゴールデンなウィークだ!(?)」ってことで、GWと呼ばれるようになったという説が知られています。

 

 

ちなみに、映画「自由学校」って、同じ時期に2つの映画会社(大映と松竹)が競作したという異例の作品らしい。

 

その話題性もあってヒットしたってことなんでしょうね。

www.kadokawa-pictures.jp

 

 

4. GWも「おうちで過ごそう」

というわけで、今回は帰省とGWの成り立ちについてご紹介してきました。

 

「GW明けの緊急事態宣言解除」は難しいのではないか、という見方が広がっている今日この頃ですが、GWの行動如何で今後の情勢が大きく変わることは間違いありません。

 

出かけたい気持ちはあるけれど、ここは我慢して…

 

GWもおうちで過ごそう。

 

 

そして、「おうちで過ごすならお茶を飲もう」!笑

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

 

今回は、ここまで!

 

 

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chimon

 

 

※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。