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【2020年4月23日】ちょっとティーブレイクvol.5〜煎茶に抹茶、玉露…お茶の違いを知ろう!

《この記事の文字数:約4,500》 

ちょっと読み応えアリ

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語るよ。笑

どうも、chimonです。

 

先週に引き続き「#おうちで過ごすならお茶を飲もう」ということで笑、日本茶の魅力をお伝えする「ちょっとティーブレイク」シリーズの第5弾!

 

今回は、意外と知らないお茶の種類について、ざっとご紹介していきます。

 

皆さんは、煎茶・抹茶・玉露の違いを説明できますか…??

 

1. 「日本茶」と「緑茶」は微妙に違う

お茶には、色々と種類があります。

 

緑茶・烏龍茶・紅茶が、どれも同じチャノキの茶葉から作られるってことは、以前の記事でご紹介しましたよね!

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

このうち「緑茶」について見てみると、さらに細かい種類があります。主なものを挙げてみると…

 

普段急須で淹れるのが「煎茶」。緑茶として販売されているペットボトル飲料の多くも、この煎茶にあたりますね。

 

いいところで、いいお客さんに出す、いいお茶が玉露。(ざっくり過ぎる。笑)

 

他には、お茶スイーツで若い女性にも人気な「抹茶」などなど…

 

 

これらは全て「緑茶」の一種と言えます。

 

 

もう一つ、このブログでは日本茶という言い方をよく用いています。

 

日本茶=緑茶」と考えがちですが、決してそういうわけではありません。

 

 

日本茶」っていうのは、あくまでも日本で作られたお茶のこと。

 

だから、厳密に言うと緑茶だけでなく、一部の地方で作られている後発酵茶や和紅茶なんかも指すわけです。

 

とは言え、この後ご紹介する通り、日本茶は「蒸し製」がほとんどという点が特徴的なので、多くの場面で「日本茶≒緑茶」として語られます。

 

 

一応、この記事では、

  • 日本茶:日本で作られたお茶全般
  • 緑茶:不発酵茶(茶葉の収穫後すぐに酸化を止めて作る緑色のお茶)

という定義でお話ししていきます!

 

 

2. 緑茶を分類してみた

ということで、さっそく緑茶の分類をご紹介!

 

いつも通り、手書きで失礼します…笑

 

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お得意の手書きだぜ

(1)「蒸し製」と「釜炒り製」

緑茶と烏龍茶、紅茶の違いは先ほどもご紹介した、こちらの記事で取り上げました。

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

で、今回は緑茶の中でも種類があるよ、というお話。

 

分類図を見ると、緑茶の次に来るのが「蒸し製」「釜炒り製」というものです。

 

蒸し製には「日本式」、釜炒り製には「中国式」と書いていますが、要するに日本緑茶は蒸し製が主流です。

 

 

もちろん、日本でも釜炒り製を作っている地域も一部あります。

 

釜炒り製は九州が中心で、有名なのは佐賀・長崎で作られる嬉野茶!(ただ、嬉野茶も主流は蒸し製らしいけど)

 

 

この2つの違いは、茶葉の酸化酵素の働きを止める工程の違いにあります。

 

 

植物は、収穫した瞬間から酸化が始まります。

 

茶葉も御多分に洩れず…といったところで、収穫した瞬間からどんどん酸化が進んでしまうのです。

 

 

緑茶では酸化をいち早く食い止めるため、収穫してからすぐ熱を加えることで、酸化酵素の働きを止めるという工程(殺青:さっせい)が行われます。

 

この殺青のやり方の違いが、蒸し製と釜炒り製の違い!

 

 

まあ読んで字のごとくですが…

  • 蒸し製:生葉を蒸気で蒸すことで殺青する
  • 釜炒り製:生葉を釜で炒ることで殺青する

ということですね。笑

 

 

想像つくかもしれませんが、釜炒り製は「釜香(かまか)」と呼ばれる独特な香ばしい香りがします。

 

炙れば香りがつくってのは、なんとなくわかりますよね。

 

でも、この釜香が何者なのか、っていうのは科学的に未解明らしいのです!お茶って奥深いね!笑

 

 

釜炒り製を「中国式」と書いた通り、もともとは釜炒り製が主流だったわけで、日本に最初伝わった時もこっち。

 

 

つまり、蒸し製っていうのは、日本で独自に編み出された方法ということなのです!

 

正しくは、蒸すという方法自体は昔からあったけど、揉んで揉んでよじって…という煎茶の技法は、日本独自のものということ!

 

 

詳しくは、いずれ「日本茶の歴史」でご紹介しますが…

 

江戸時代に永谷宗円(ながたにそうえん)という人物によって、「青製煎茶製法」という革命がもたらされ、現在のような煎茶をはじめとした日本緑茶が発展していきました。

 

 

ふーん、程度でいいです。笑

 

 

ちょっと話はズレますが、「煎茶」っていう名前に疑問を持ちませんか?

 

 

「煎ずる茶」って書くけど、煎ずるって全然意味が違うんですよね。

 

こちらを見てみてください。「薬草・茶などをよく煮てその成分を湯に出す」って書いてあるでしょ?

www.weblio.jp

 

煎茶をよく煮出して淹れてたら…

 

「それ、チャイちゃいまんがな!」ってツッコミ入りますよ。

 

 

…取り乱しました。

 

 

何が言いたいかと申しますと、もともとは茶葉を煮出して飲むっていうのが、一般的なお茶の姿だったってこと。

 

 

それが、永谷宗円の発明した技術によって、現在のような煎茶の淹れ方に発展していったというわけなのです!

 

 

メチャメチャ高度な技術なのですよ!!!

 

 

(2)分類の前にルールを決めておくよ

さっそく具体的な分類の説明に入っていきたいのですが、その前にルールを決めておきます。

 

それぞれのお茶を、次のような指標で表してご紹介したいと思います!

  1. 被覆栽培 :する or しない
  2. 揉み   :する or しない
  3. 豊富な成分:多く含まれる代表的な成分を記載

 

「1. 被覆栽培」とは、収穫前の一定期間、茶葉に覆いをかける栽培法のことです。一時的に日光を遮るってことですね。

 

「2. 揉み」とは、茶葉を加工する際、乾燥させたり形を整えたりするために「モミモミ」すること。

 

「3. 豊富な成分」は、お茶に含まれる成分の中でも、その種類で特徴的な成分をご紹介します。

 

 

では、早速いってみましょう!

 

 

3. 煎茶〜緑茶の代表選手〜 

《煎茶のプロフィール》

  • 被覆栽培 :しない
  • 揉み   :する 
  • 豊富な成分:カテキンビタミンC

 

最初にご紹介する煎茶は、まさに緑茶の代表選手!

 

茶葉を買ってきて急須で淹れる…という一般的な緑茶ですね。実際、日本茶の流通量のうち8割以上を占めると言われています!

 

 

抗酸化作用・ガン予防・脂肪の吸収抑制・抗菌作用など数多くの効能を持つと言われるカテキンや、「風邪に効く」でおなじみのビタミンCなどが豊富に含まれています。

 

 

こちらの記事でご紹介した通り、カテキンはお茶の渋味・苦味をもたらす成分

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

だから、カテキンを多く含む煎茶は、すっきりとした渋味や苦味が特徴ですね〜!

 

 

ちなみに、殺青を行うために茶葉を蒸すわけですが、この蒸し時間の長さによってさらに分類されます。

  • 普通煎茶 :蒸し時間が30〜40秒程度
  • 深蒸し煎茶:蒸し時間が普通煎茶の2〜3倍、60〜120秒程度
  • 特蒸し茶 :もっと深蒸し!

 

明確な定義があるわけではないので、産地や茶園によって差があります。

 

茶葉を蒸すと、柔らかくなって組織が崩れやすくなるため、深蒸しになるほど茶葉の緑色が出やすいというのがポイント。

 

 

深蒸し茶は水色(すいしょく:お茶の色)が綺麗とされること、首都圏の水道水にマッチするなどの理由から、首都圏を中心に好まれる傾向にあります。

 

また、茶葉には不溶性の成分も多く含まれているのですが、深蒸し茶では茶葉の組織が崩れて入り込むので、より効果的に健康成分を摂取できるというメリットも!

 

 

お茶屋さんに行くと、蒸しについても記載されているのでチェックしてみると面白いですよ!

 

 

4. 玉露〜高級茶の代名詞〜

玉露のプロフィール》

  • 被覆栽培 :する(収穫直前20日程度)
  • 揉み   :する 
  • 豊富な成分:テアニンカフェイン

 

続いてご紹介するのが玉露

 

名前からして高級な感じがします。笑

 

いいお客さんに出すいいお茶、っていうイメージがありますよね。

 

 

何で高いかと言うと、主に2つの理由があります。

 

1つは、被覆栽培+新芽だけを収穫ということで、手間がかかる上に収穫量が少ないから。

 

もう1つは、そもそも玉露を生産する農家が少ないから。産地も、京都の宇治、福岡の八女、静岡の岡部などに限られます。

 

 

初めてちゃんと淹れた玉露を飲むと、とんでもない旨味の強さに思わずビックリしちゃうはず!

 

これは、緑茶特有の旨味成分であるアミノ酸の一種・テアニンの含有量が多いためです。

 

 

実は、茶葉の中に含まれるテアニンは、日光を浴びることで渋味成分のカテキンに変化するのです!

 

 

ほーう。

 

 

だから、被覆栽培で日光を遮ると、テアニンがそのまま残るってわけなんですねー。

 

 

玉露の旨味を最大限に引き出すため、少量ぬるめ(60℃くらい)のお湯・多めの茶葉で時間をかけて淹れるのが…なんて話をしたいんですが、今回はやめときます。笑

 

 

生産工程としては、煎茶とほとんど変わりません。

 

「被覆栽培を20日程度行うのが玉露って思っとけば、ひとまずOK!

 

 

5. かぶせ茶〜玉露ほどではないけれど〜

《かぶせ茶のプロフィール》

  • 被覆栽培 :する(収穫直前10日〜1週間程度)
  • 揉み   :する 
  • 豊富な成分:テアニン、カフェイン

 

次は、かぶせ茶!

 

聞いたことがない人もいるかもしれませんが、三重県の伊勢茶なんかはかぶせ茶が有名。実際、三重県の生産量が圧倒的に多いようですね。

 

 

端的に言うと、玉露より被覆栽培の期間が短い、っていうことなんですが…

 

被覆栽培の方法がちょっと違ってまして。

 

 

文章で書いてもようわからんので、またもや手書きの図で解説!笑

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わかるよね?


ふーん、でいいんですが、玉露の方が栽培が手間かかりそうっていうのは、何となくおわかりいただけるのでは?

 

 

期間が短いとは言え、被覆栽培をある程度しているかぶせ茶も、煎茶に比べて旨味成分のテアニンが多めです。

 

 

6. てん茶〜挽いたら抹茶〜

《てん茶のプロフィール》

  • 被覆栽培 :する(収穫直前20日以上)
  • 揉み   :しない
  • 豊富な成分:テアニン、カフェイン

 

次は、てん茶!

 

「てん茶」って言うと、中国の「甜茶(甘い中国茶)」を連想するかもしれませんが、ここでご紹介するのは碾茶です。

 

 

ピンと来ない方へ先にお話しすると、このてん茶を石臼で挽いたものこそが「抹茶」なのです!

 

 

てん茶も玉露やかぶせ茶と同様、被覆栽培を行います。

 

しかも、玉露よりさらに長め!

 

 

ということで、テアニンが豊富です。

 

 

 

そんなてん茶の特徴が、「揉み」の工程がないこと!

 

蒸したらそのまま乾燥させて、茎や葉脈を取り除いて保管します。

 

 

 

「基本的に抹茶で使うんだし、体積減るんだから、粉にして保管すればいいじゃん!」と思ったあなた!鋭い!

 

 

実は、粉末状にすると日持ちしないという問題がありまして…

 

だから、使う直前に石臼で挽いて、使う分だけ抹茶に加工してきたのです。

 

 

粉末状の抹茶として使われることが多く、他のお茶と違って、茶葉丸ごと摂取することができます。

 

つまり、不溶性の成分も全部取り入れることができるので、栄養価が高い!

 

 

いろんな料理に使いやすいので、活躍の幅が広いのは皆さんご存じかと思います。

 

 

7. おわりに

今回は、緑茶の種類と特徴を細かくご紹介してきました。

 

煎茶と抹茶の違い、わかりましたよね?!

 

細かく言うと、まだまだ話は尽きないのですが…

 

次回はお茶の淹れ方とか、健康成分とかを語っていきましょうかね。

 

 

「#おうちで過ごすならお茶を飲もう」!笑

 

 

(参考文献)

日本茶検定委員会監修、NPO法人日本茶インストラクター協会企画・編集『日本茶のすべてがわかる本 日本茶検定公式テキスト』農山漁村文化協会, 2008

 

(参考URL)

伊藤園「お茶百科」

www.ocha.tv

 

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chimon

 

 

※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。また、成分の効能なども通説をご紹介するに留まっており、医学的に証明しているものではありません。