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【2020年2月19日】花粉症の「凶暴化」から考える、アレルギーと日本人《前編》

《この記事の文字数:約2,600字》

サラッと読める

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THE国民病

どうも、chimonです。

 

何だか暖かい日が続いたと思ったら、ちょっと寒くなって…とは言え、確実に春の足音は近づいていますね。

 

そして「ヤツ」の時期がやってくるのです。

 

そう、ヤツです…。

 

 

1. 花粉症が凶暴化しているらしい

そう、花粉症です。

 

chimon自身は、スギ花粉症はそこまで症状は出ないのですが、ブタクサなんかはかなり怪しいですね。

 

 

実際どれくらいの人が花粉症を罹患しているのか調べてみたところ…

 

東京都の場合、平成28(2016)年度の調査で推定48.8%だそうです。

 

 

(参考)東京都健康安全研究センター「花粉症患者実態調査(平成28年度)概要版」

http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/kj_kankyo/kafun/jittai/gaiyouban.pdf

 

 

ほぼ半数の人が花粉症って…とんでもない国民病ですね…。

 

 

何で今回花粉症のことを話しているかと言うと、昨日の日本テレビ系「スッキリ」でアレルギーに関する特集をやっていて、花粉症の話が出ていたんです。

 

そこで紹介されていたのが「花粉症が凶暴化している」というお話。

  

「凶暴化」…?

 

 

番組で紹介されていた内容を簡単にまとめると、次の通り。

  • スギの木が近くに植わっていない東京都心での花粉症患者が増えているのは、本来おかしなこと。スギの木が増えているわけでもない。 
  • 都市部における花粉症患者増加の原因として考えられるのは、少ない量でもアレルギーを発症する「花粉の凶暴化」が起きているというもの。
  • 花粉の凶暴化は2段階からなり、1段階目は「花粉が空中の汚染物質にぶつかって破裂することで、内部に含まれる大量の極めて小さなアレルゲンが空中に放出される」ということ。
  • 2段階目は「放出された小さなアレルゲンが空中の汚染物質と結合し、通常のアレルゲンに比べて1万倍ものアレルギー反応を起こす物質に変化する」ということ。
  • これにより、飛散する花粉の量は増えていないのに、花粉症に苦しむ人が増えていると考えられる。

 

考えてみれば、山の方から飛んでくるとは言え、都心で花粉症患者が増えているって言うのは不思議なことなのかも。

 

それにしても「凶暴化」って恐ろしいフレーズだな…と思い、ふと花粉症っていつからあるものなのだろう、と調べ始めたというわけなのです。

 

 

2. クリプトメリア ジャポニカ

いきなり何のこっちゃ、って感じですが。

 

「クリプトメリア ジャポニカ

 

これが、スギの学名なのです。

 

 

ジャポニカ」!!

 

 

そうなんです。

 

スギって、もともと日本の固有種なんですね。日本原産で、日本にしかない木でした。

 

戦時中から戦後にかけて、海外で植林された例はあるらしいですが、ヨーロッパなんかでスギを見かけることはまず無いようです。

 

 

よく「花粉症は日本だけ」っていう話を聞きますが、これは「スギ花粉症が日本だけ」と言うべき。

 

そりゃそうだ。日本にしかスギは無いんだから。

 

 

 

地域が変われば花粉症も変わる、ということでトリップアドバイザーにこんな素敵な(?)ものがありました。笑

tg.tripadvisor.jp

 

すーぐ「世界三大」ってつけちゃうんだから!笑

 

「世界三大花粉症」って何やねん!!!

 

 

これ見ると面白いですよ。

 

例えばイタリアやスペインでは「オリーブ花粉症」なんてのがあるみたい。

 

 

前に聞いた話では、ハワイは「マンゴー花粉症」に苦しむ人も多いようです。

 

マンゴー花粉症!!

 

 

ただ、共通して言えるのは、先進国と呼ばれてきた欧米や日本での患者数が多いということ。

 

花粉症を含むアレルギーは「文明病」とも称されるらしいです。

 

 

3. スギ花粉症は現代病

そんなスギ花粉症が発見されたのは、前の東京オリンピックと同じ1964年のこと。

 

東海道新幹線と同い年…若い!笑

 

 

日本の科学者が、前年に栃木県日光において花粉症患者を研究し、1964年に論文として発表したそうな。

 

高度経済成長期以降、花粉症が拡大した要因は結構知られている話ですね。

 

 

簡単に言えば、戦後復興や都市開発による材木ニーズに応えるため、山林を切り開いてじゃんじゃかスギを植林。その時のスギが高度経済成長期以降、立派に成長し、花粉を一斉に飛ばし始めたから。

 

ちなみに、スギは樹齢30年ごろから花粉を飛ばすんですって。

 

スギの本格的な植林が行われたのが1950年代だったということもあり、1970年代後半から「国民病」と言われるほど急激に患者が増えました。

 

 

ん…?ということは、やはり最初に発見された当時は「山の方だったから患者がいた」ってだけの話…?

 

そう考えると、発見されたのは1964年だけど、山の方では恐らく発見前から花粉症的症状で悩まされる人はいた、と推測できますな。

 

 

このように日本で発見されたのは戦後のことですが、イギリスでは19世紀に「枯草熱(こそうねつ)」というのが発見されていまして、花粉症のルーツと考えられています。

 

イギリスの場合は国土の大半が牧草地なので、そこに生えているカモガヤを中心としたイネ科の花粉によるアレルギーを発症する人が多かったみたい。

 

最初は理由がはっきりしなかったようですが、ある時「花粉が原因」ってことが発見されたんですね。

 

 

ヨーロッパでは100年以上前から問題になっていた花粉症ですが、環境省の「花粉症環境保健マニュアル」(https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/1_chpt1.pdf)では、次のような説が述べられています。

 

欧米では昔から枯草熱などの類似疾患が多く報告されていたのに対し、日本では1970年代前半から急に報告が増えたこともあり、食生活など生活習慣の欧米化による人間側の変化の影響を指摘する意見もあります。

 

環境省「花粉症環境保健マニュアル」より引用 

 

スギ花粉が増えたってだけでなく、人間側の体質変化も影響しているのではないか、って話ですな。興味深い。

 

 

花粉症はアレルギーの一種。

 

アレルギーは体質と密接に結びついていますから、高度経済成長に伴う日本人の体質変化が花粉症を国民病たらしめた、というのも説得力ある話です。

 

 

 

というところで、今日は軽めにここまで!

 

明日の後編では、花粉症に限らずアレルギーと日本人の関係性を暴いていきたいと思います。

 

なぜ子供のアレルギーが増えているのか、花粉症は将来どうなっていくのかなど、深掘りしていきますのでお楽しみに!

 

 

《後編へ続く》

 

 

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chimon

 

 

※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。