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【2020年1月26日】超意訳!中学生でも読める古事記vol.4〜禊と三貴子誕生編〜

《この記事の文字数:3,667》

ちょっと読み応えアリ

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2日連続の2日目!

どうも、chimonです。

 

2日連続「超意訳!中学生でも読める古事記シリーズ!

 

4回目となる今回は、黄泉の国から帰ってきたイザナキさんが禊をする「禊と三貴子誕生編」をお送りします。

 

誰もが知る日本神話最高神を含む、超有名神たちがついに登場!一つの山場かも?!

 

 

前回の記事を読みたい方はこちら!

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

最初から読みたい方はこちら!

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

 

では、さっそくスタート!

 

 

※斜字:補足、もしくは原文にないchimonオリジナル解釈&ツッコミ笑

 

8. イザナキさん、禊入りまーす

黄泉の国から、命からがら逃げてきたイザナキさん。

 

「あああ…マジで見るのも嫌なくらい、穢らわしい国に行ってしまったなあ…すっかり私の身体も穢れてしまった。身体についた穢れを落とすために、お祓いをしよう!」

 

いやいや、妻を追いかけてって「見るな」って言われたのに見て、完全なる自業自得だし。黄泉の国のイザナミさん、また怒っちゃいますよ?

 

 

というわけで、筑紫の日向(ひむか)の橘の小門(おど)のアハキ原に行って、を行うことにしました。

 

ここでいう「アハキ原」、一説では宮崎市の阿波岐原周辺ではないかと言われています。同地には、今でもイザナキさんとイザナミさんを祀る「江田神社(えだじんじゃ)」が鎮座しています。

 

 

禊を行うため、イザナキさんは身につけているものを全て脱ぎ捨てます。

 

すると…投げ捨てた杖・帯・袋・上着・袴・冠・両手につけた腕輪…ありとあらゆるものから神様が誕生。その数、なんと計12柱!

 

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神過ぎる神からは、神が生まれ過ぎる。

 


身につけていたものを脱ぎ終わったところで、イザナキさんが言いました。

 

「うーん…上流のほうは流れが速いからなあ。かと言って、下流のほうは流れが遅いんだよなあ…」

 

このように言って、中流の瀬に入って体をすすぎ始めたのです。

 

上流は流れが速いし、下流は流れが遅いからなあ、って。その説明要ります?…でしょうよ。笑

 

 

水で穢れを落とすと、その穢れからも二柱の神が誕生。

 

黄泉の国から引きずってきた穢れから神が生まれてしまったので、それを正すために三柱の神が誕生しました。

 

 

ん?「意味がわからない?」

 

同感です。笑 神過ぎる神なので、行動一つひとつが神を生んじゃう、っていう神がかりな感じ。

 

 

ここで、イザナキさんは水底に潜って、さらなる禊を行います。

 

水底で身体をすすいだ時に出現した神が、底津綿津見神ソコツワタツミノカミ)底箇之男命(ソコツツノオノミコト)

 

 

つづいて、水の中ほどまで上がってきて、禊を続行。

 

この時に身体をすすいで出現した神が、中津綿津見神ナカツワタツミノカミ)中箇之男命(ナカツツノオノミコト)

 

 

水面に上がってきて、念押しの禊。

 

水面で体をすすぐと、上津綿津見神ウワツワタツミノカミ)上箇之男命(ウワツツノオノミコト)が出現しました。

 

 

ここで出現した三柱の綿津見神は、阿曇連(あずみのむらじ)たちが祖先神として祀っている神様。

 

阿曇連は、綿津見神の子である宇都志日金柝命(ウツシヒカナサクノミコト)の子孫です。

 

阿曇連というのは、もともと福岡あたりを本拠地としていた古代の有力な海人族(あまぞく)・安曇氏のこと。航海術と稲作技術に優れていて、大陸との交易も行なっていたようです。その後、大和政権の支配下に入って、摂津国安曇江に本拠地を移転。大和政権下で、高位の豪族である「連(むらじ)」という称号を与えられて重用されていました。ということで、わざわざ名前が出てくるんですね。

 

 

また、他の三柱の神は、住吉大社に祀られている三神なのです。

 

現在も関西屈指の神社として知られる住吉大社に祀られる、住吉大神のことですね。安曇氏が摂津国を支配する以前から、この地を支配していたのが津守(つもり)氏。彼らが祀っていたのが住吉大社だったと見られるそう。津守氏は安曇氏の支配下に入るのですが、それ以降も以前から当地で祀られていた住吉大社は崇拝され続けたようです。だから、両者の神々が同時に生まれたという設定になっているんですね。

 

 

そして、ついにイザナキさんによる禊も大詰め。

 

最後に左目を洗った時に出現したのが、天照大御神アマテラスオオミカミ

 

つぎに右目を洗った時に出現したのが、月読命ツクヨミノミコト)

 

つづいて鼻をすすいで出現したのが、建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコトでした。

 

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nextヒーローズ

 

ここにきてついに登場!日本神話最高神・アマテラスさん、そして英雄・スサノオさん。いよいよイザナキさんが主人公のストーリーも終わりが近づいています…

 

 

9. 三貴子さんへ主役交代

最後の三柱の神が生まれると、イザナキさんは大喜び!

 

「これまでたくさんの神を出現させてきたけど、最後の最後に三人の貴い子たちを誕生させることができたよ!!!!!!」

 

「三人の貴い子」=三貴子(さんきし)の誕生、というわけですね。

 

 

イザナキさんは身につけていたネックレスを外して、玉同士を触れ合わせ音を立てながら、アマテラスさんに渡しました。そして、こう告げたのです。

 

「アマテラス!お前に天上界任せたわ!」

 

出現したてのホヤホヤ神様に、謎の丸投げ。笑

 

 

このネックレスは、穀倉に設けられた棚で大切に保管されたことから、御倉板挙神(ミクラタナノカミ)と呼ばれます。

 

美しく磨かれた宝玉というのは、貴重なものであり権力の象徴。これをつなぎ合わせたネックレスをアマテラスに授けたということは、イザナキがアマテラスを後継者として選んだということを意味するようです。

 

 

イザナキさんは、さらにこう続けました。

 

ツクヨミ!お前には、夜の世界を任せるわ!」

 

「で、スサノオ!お前には、海原の世界を任せたぞ!」

 

 

アマテラスさんとツクヨミさんは、イザナキさんの言ったことをちゃんと守り、それぞれ天上界と夜の世界を統治していました。

 

しかし、スサノオさんだけは様子が違います。

 

スサノオさんは海原の世界をちっとも統治せず、あごひげが伸びに伸びて、鳩尾に達するくらい長くなっても、ずっと泣きわめき続けていたのです。

 

その泣きっぷりは相当なもので、青い山々から水分を奪って木々を枯らし、川や海の水分すら涙に取られて干上がってしまうほど。

 

スサノオさんの涙腺はブラックホールや。

 

このせいで、国の全てに悪霊たちの声が満ちて、あらゆるものから妖気が発せられていました。

 

スサノオさん、そんなに泣いたら目が取れますよ。笑

 

 

見かねたイザナキさんは、スサノオさんに尋ねました。

 

スサノオよ。なんでお前は、任せられた海原も統治せず、ずっとずっと泣いてんの?どうしたのよ?」

 

 

いや、イザナキさん!遅くね?聞くの遅くね??笑

 

あごひげが鳩尾につくまでって、何年放ってんのよ?あらゆるものから妖気が発せられてるって、もう末期じゃない!どこまで放ってんの?!笑 

 

 

スサノオさん、お父さんの質問に対して素直に答えます。

 

「俺、母ちゃんのいるあの世<原文では「根之堅洲国(ねのかたすくに)」>に行きたいんだ!母ちゃんに会いたいんだー!!だから泣いてるんだーーーーー!うわあああああああああああああん!!!」

 

これがマザコンの起源です。(大嘘)

 

 

これを聞いたイザナキさん、大激怒。

 

「ふっざけんなっ!!!!!俺がどんだけ大変だったかわかってんのか?!見るなって言われたけど、ちょっと見ちゃっただけじゃん?それなのに、あんなに追いかけてくることないじゃん?めっちゃ穢れたじゃん?で、すすぐじゃん?で、お前が生まれたんじゃん!(多分に意訳)そんなに言うなら、この国から出ていけ!!!!!」

 

ということで、スサノオさんを天上界から追放してしまったのでした。

 

 

イザナキさんは、近江国の多賀神社(現在の多賀大社)に祀られています。

 

あっけなくイザナキさんの出番終了!笑

 

 

《vol.5へ続く》

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

 

次回予告!

 

天上界から追放されてしまったスサノオさん。

 

母ちゃんのいる根の堅洲国へ向かう前に、姉であるアマテラスさんの元へ向かうことに。

 

しかし、アマテラスさんはやんちゃものの弟に超厳戒態勢。

 

スサノオさんは疑いを解くため、誓いの儀式を持ちかけます。

 

 

次回「神様の神事は神がかり〜誓約(うけい)編〜」

 

 

お楽しみに!

 

 

 

(参考文献)

・中村啓信訳注『新版 古事記 現代語訳付き』角川文庫, 2009

・『【完全保存版】古事記 日本最古の物語』英和出版社, 2019

山折哲雄監修、田中治郎著『新版 面白いほどよくわかる日本の神様』日本文芸社, 2013

 

※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。