【2020年1月15日】今日はイチゴの日!イチゴ好き過ぎ族・日本人とイチゴの歴史《前編》
《この記事の文字数:2,942》
サラッと読める
どうも、chimonです。
ちょっと前から私が気になっていたこと。それが「日本人ってイチゴ好き過ぎじゃないか」問題。笑
夏にはスイカ、秋にはブドウ・梨・柿・リンゴ・栗、冬にはミカン…
季節ごとに旬の果物があって「〇〇フェア」なんてのを見かけるわけですが。
それにしたって、イチゴの優遇っぷりったらない。
スーパーはおろか、コンビニのスイーツ棚までイチゴで埋め尽くされる始末!どんだけイチゴやねん!!笑
ということで「日本人とイチゴの歴史」と題して、軽く紹介してみようかな…と出来心で思ってたんですが…
これが、とんでもなく奥深い!!!
予想に反してかなりの内容になったため、急遽本日15日と、来週22日の2回シリーズでお送りすることにします。
1. どれだけ日本人がイチゴ好きかというお話
「日本人はイチゴ好き」と言いますが、実際のところどんなものなのか、具体的なデータを見ていきましょう。
農林水産省が公表しているところによると、日本人のイチゴ生食消費量は世界一と言われているらしい!
お菓子のイチゴ味はもちろんですが、やっぱり生食でそのまま食べるのが好きってことですね。
そして、もう一つ興味深いのが品種の数。
日本最大の産地・栃木県を中心に日本一の生産量を誇る「とちおとめ」、日本第2位の生産量を誇る福岡県の「とよのか」「あまおう」。他にも「さがほのか」「ゆめのか」「紅ほっぺ」「スカイベリー」などなど…。
とにかく品種が多いと思いませんか?
スーパーに行っても、産地が違えば品種が違うってくらい、さまざまな名前を目にするわけです。これだけ品種があるのって、他に米くらいなのでは?
それもそのはず、日本のイチゴの品種は2018年3月時点で294種もあるそう!
ジェトロが公表しているところでは、世界全体のイチゴの品種のうち半分以上の種類を日本が占めている、なんて説もあるというから驚きです…!
ああ、そりゃ日本人がイチゴ好き過ぎって感覚も間違ってないわな、という感じですね。笑
2. 壮大なイチゴ史
(1)そもそも人間はイチゴがお好き
じゃあ、日本人がいつからイチゴを食べていたのだろうと歴史を調べていたらですね、あることに気づいたわけです。
それは「そもそも全人類がイチゴ好き」っていう事実です。笑
と言うのも、なんとヨーロッパの紀元前3800年頃の遺跡で、すでに人類がイチゴを食していた跡が見つかっているそうで…さらには古代ローマでイチゴの栽培が行われていたと言いますから…
そんな昔から、人間はイチゴの虜だったんですね。
なんて恐ろしいヤツだ。笑
日本においても石器時代から食べられていたらしく、平安時代の927年に完成した「延喜式(えんぎしき)」には、すでにイチゴの名が登場しています。
ただし、先史時代からのイチゴというのは、ヘビイチゴやキイチゴといった、今で言うところの「野イチゴ」でした。
今のような甘くて大きな実ではなく、小さくて(良く言えば)酸味たっぷりの実だったんですね。とは言え、当時の食糧事情からすれば貴重なフルーツであったことでしょう。
(2)新生イチゴ、登場。
そんなイチゴ界に新たな風が吹いたのは、18世紀のこと。
日本からはるか遠く、オランダで新しいイチゴが誕生したのです。
これは南米原産のチリイチゴと北米原産のバージニアイチゴを交配したものだそうで、なんとそれまでのイチゴの10倍近い大きさの実がなったそうな。
おまけに甘みが強い!ということで、一気にイチゴ界のトップに躍り出たんですね。
このイチゴはその名も「オランダイチゴ」と言います。
実は現在市場に出回っているイチゴのほとんどが、このオランダイチゴ種。これからは皆さんも本名で呼んであげましょうね。
「オランダイチゴ大福」「オランダイチゴミルク」「オランダイチゴタルト」…
やめときましょうか。笑
(3)蘭苺来航
そんな新しいイチゴが、どうやって日本に入ってきたのか…?
よく考えてみてください。
オランダイチゴが誕生したのが18世紀。日本は江戸時代。
江戸時代といえば「鎖国」(最近では「鎖国はなかった」という説が有力ですが)をしていたわけですが、その中でも交易をしていた国ってどこでしたっけ…?
そう!オランダです。正解!笑
オランダとの交易の窓口であった長崎において、江戸時代末期の1830〜1840年代ごろ、オランダイチゴがもたらされたと言われています。
(4)日本初の国産イチゴ「福羽」
明治に入り、オランダイチゴの苗を日本に輸入して栽培しようと試みますが、輸送中に枯れてしまうことも多く、なかなか成功しませんでした。
それを成功させたのが、明治期に活躍した農学者の福羽逸人(ふくばはやと)氏。
彼はフランスから取り寄せた、オランダイチゴ属のある品種の種を新宿御苑に植えました。この中から、大きくて美味しい実をつけたものを選抜し、日本初の国産イチゴ「福羽」として発表したのです。
ただ、栽培されていたのが新宿御苑というところがポイント。
戦前は皇室の御料地(ごりょうち)だったため、そこで作られたイチゴは門外不出!「皇室イチゴ」や「御料イチゴ」などと呼ばれ、皇族以外は食べられない超高級フルーツだったそうです。
イチゴ様ー!笑
本格的にイチゴが庶民の元に流通するのは、第二次世界大戦後のことでした。
1950年にアメリカから「ダナー」という品種が持ち込まれて人気を博します。1960年代以降は、ビニールハウスでの栽培の普及や高度経済成長によって、お手頃価格に落ち着いてお茶の間に定着したというわけです。
3. イチゴの旬っていつだっけ?
日本におけるイチゴの歴史を見てきたわけですが、ここで一つ問題です!
「イチゴの旬っていつでしょうか?」
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「正解!」笑
そうですね、一般的には冬から春にかけて、といったところでしょうか。
厳密には11月ごろから店頭に出回り、3〜4月ごろまで広く流通します。
ところが!!
そもそもイチゴというのは、温帯から亜熱帯で育つ植物であって、日本においては初夏に採れるものらしいのです!
ん?
初夏にイチゴなんて食べない?
そこが問題なんです!!!!
現在の月別消費動向を見ると、12月に消費量が伸び、3月ごろにピークを迎えます。
つまり、本来の旬よりもはるかに早い時期に、ニーズが高まるという謎の現象が起こっているんです。
そう、イチゴは人々のニーズによって、旬が変わってしまったという衝撃の過去を持つ果物だったのです!
これには、あるお菓子会社の戦略が深く関係しているのだとか…
というところで、前半は終了!
後半は来週1月22日に公開予定ですので、お楽しみに!
(ちなみに1月22日は「ショートケーキの日」。お?!)
※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。