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【2020年1月7日】伊勢神宮へエア参拝!(知っておきたい日本の社寺シリーズ1)《前編》

《この記事の文字数:4,643》

ちょっと読み応えアリ

どうも、chimonです。

昨日ちょっとティーブレイクしたのは、次の作品があまりにも大作の予感がしたから…。

 

ということで、先に言っておきます。今回のテーマ、前中後編の3部作でお届けします!

 

それでも収まらないっていう一抹の不安。

 

 

このブログでは様々な日本文化を紹介していますが、メインコンテンツの一つとして、今回から「知っておきたい日本の社寺シリーズ」と題して、日本で特筆すべき神社や仏閣について細かく解説していきたいと思います。

 

 

記念すべき第1回のテーマは伊勢神宮

 

 

伊勢参り、したことありますか?

 

日本で最も格式高いとされる神社であり、日本人であれば一度は参拝すべきと言われる超有名神社ですね。

 

 

ちなみに私は、昨年夏にお参りした後、この三が日にも初詣に訪れました。

あ、初詣といえばこんな記事あります。笑

 

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

今年の初詣の時の写真がこちら!

内宮の初詣

2020年初詣の内宮(すごい人!)

 

ああああああ…人

 

なんで日本人はこんなにも伊勢神宮を崇拝するのでしょうか?

 

 

今回は、伊勢神宮に参拝したことがある方もない方も楽しめるよう、私が撮りためた画像をふんだんに用いていきます。皆さまを「エア参拝」にご招待しましょう!笑

 

(だから前中後編…びっくら!笑)

 

 

 

1. 伊勢神宮って何だべや?

 

そもそも最初に言っておかなければならないのは、「伊勢神宮」という名前が通称だということです。

 

正しい名称は「神宮」

 

「え?」と思った方がいらっしゃるかもしれませんが、「神宮」と言ったら本来は伊勢の神宮のことを指すんです。神宮球場ではないんですね。(あれは明治「神宮」の外苑球場です)

 

なので、これ以降は「神宮」と表記します。

 

 

(1)内宮と外宮

 

そんな神宮ですが、実際は内宮(ないくう)・外宮(げくう)という2つの本宮、14個の別宮、そして約125とも言われる摂社(せっしゃ)・末社(まっしゃ)・所管社からなります。

 

内宮・外宮共にこれまた通称で、正式名称は内宮が「皇大神宮(こうたいじんぐう)」外宮が「豊受大神宮(とようけだいじんぐう)」。両宮は、直線距離で約4km離れています。

 

もともとは、豊受大神宮皇大神宮の外側にあったため「外宮」と呼ばれるようになり、それに対して皇大神宮が「内宮」と呼ばれるようになったようです。

 

皇大神宮こうたいじんぐうから見て、「外にあるお宮」という意味で外宮と呼ばれ、その後に内宮という呼び方がされたと考えられます。
奈良時代(8世紀前期)には、すでに外宮と呼ばれた記録もあり、その他にも内宮と外宮をあわせて「 二所大神宮にしょだいじんぐう 」と呼ぶこともありました。

伊勢神宮WEBページ「教えてお伊勢さん」)

教えてお伊勢さん|伊勢神宮

 

内宮正殿

内宮(皇大神宮

外宮正殿

外宮(豊受大神宮

 

そして、内宮・外宮にそれぞれ別宮があります。別宮というのは、本宮の「わけみや」のことで、2つの本宮に次いで尊いであるとされています。

 

別宮の一覧は以下の通り。

 

《内宮(皇大神宮)の別宮》

 荒祭宮(あらまつりのみや)

 ・月読宮(つきよみのみや)

 ・月読荒御魂宮(つきよみあらみたまのみや)

 ・伊佐奈岐宮(いざなぎのみや)

 ・伊佐奈弥宮(いざなみのみや)

 ・瀧原宮(たきはらのみや)

 ・伊雑宮(いざわのみや)

 ・風日祈宮(かざひのみのみや)

 ・倭姫宮(やまとひめのみや)

 

《外宮(豊受大神宮)の別宮》

 多賀宮(たかのみや)

 ・土宮(つちのみや)

 ・月夜見宮つきよみのみや)

 ・風宮(かぜのみや)

 

境外の別宮もあるため、全部へ参拝するのは至難の業です…。私も全ては廻りきれていません…。

 

ちなみに別宮にも順位があるのですが、最低限荒祭宮」「多賀宮」が別宮の中で最高位、ということを理解しておけばいいと思います。理由は後ほど。

 

 

(2)どんな神様を祀ってる?

 

神社なわけですから、当然ご祭神を祀っています。

このご祭神の存在こそ、神宮が日本人から篤い崇敬を受ける最大の理由。

 

内宮と外宮はそれぞれ違うご祭神を祀っています。

 

《内宮のご祭神》

天照大御神アマテラスオオミカミ

日本神話における最高神であり、天皇家および日本国民の総氏神とされる「超がつくほど偉い神様」。アマテラスを祀っていることから、天皇陛下も即位や退位の際には直接参拝される。

 

《外宮のご祭神》

豊受大御神(トヨウケノオオミカミ)

アマテラスのお食事を司ると言われる、御食津神(みけつかみ)。アマテラスが内宮に祀られた後、アマテラスのご神託によって当地に遷されたと言われている。

 

 

特に内宮は日本の最高神を祀っているため、全ての神社のトップofトップとされています。そのため、神階や社格といった神社のヒエラルキーに一度も列せられたことがない…それだけ「別格でっせ」ということ!

 

 

歴史や由緒については、それぞれの項でご説明することにします…ようやく本題だ…

 

 

2. エア参拝その1〜伊勢参りは外宮から〜

 

お待たせいたしました!それでは皆さんを「神宮エア参拝」へとお連れします。笑

 

近鉄の車掌さん「外宮ご参拝の方は、伊勢市駅でお降りください」

駅員さん「伊勢市伊勢市〜。外宮ご参拝の方は…(以下略)」

 

伊勢市駅

参拝の玄関口「伊勢市」駅

神宮を参拝する際、玄関口になる駅が2つあります。

1つは、近鉄「宇治山田」駅。そしてもう1つが「伊勢市」駅です。

 

天皇陛下が参拝する際には宇治山田駅を利用するのですが、一般の参拝客は伊勢市駅で降りるのがベター。

 

 

なぜかと言うと!

伊勢市駅から外宮までは、徒歩わずか5分ほどだから!

 

伊勢市駅前

伊勢市駅から伸びる参道

駅前の参道をまっすぐ歩けば、あっという間に外宮です。

 

なぜ伊勢市駅から行きましょうという話をしているかと言うと、神宮を参拝する際は外宮からお参りする」という習わしになっているから。

 

理由について神宮のWEBなんかも確認したんですが…

一言「昔からの習わしです」だそうです。笑

 

まあ最高神に会う前に、そのお食事を出す神様に感謝せよってことですかね…?

 

 

(1)いざ外宮!

外宮前

外宮の入口

参道を抜けると、目の前に外宮の入口が現れます。

 

外宮の入口には「火除橋(ひよけばし)」と呼ばれる、小さな橋が架かっています。

この橋が架けられたのは江戸時代のこと。かつて外宮は境内ギリギリのところまで民家が立ち並んでいて、もし火災が発生すれば、すぐにでも燃え落ちてしまう危険性がありました。

こうした火災延焼を予防するため、人工の川が掘られ、その上に火除橋が架けられたというわけなのです!

 

なお、火除橋を含め外宮境内は「左側通行!多くの神社と同じですね。

中央は神様が通る道なので通らない、というのがルールです。

 

 

手水舎で手水を済ませ、鳥居の奥へと進んで行きます。

 

外宮一の鳥居

一の鳥居をくぐり…

外宮二の鳥居

二の鳥居をくぐると…

 

そして、いよいよ外宮の正宮へお参りです。

 

外宮正殿

正殿!ここから先は撮影禁止

(2)私幣禁断と心得よ


正宮にお参りする前に確認しておきたい、伊勢神宮ならではの原則があります。

 

それが「私幣禁断(しへいきんだん)」と言われるもの。

簡単に言うと天皇陛下以外の人間は、個人的なお供えをしてはいけません!という決まりです。

 

この決まりは今でも生きていて、神宮では「個人的なお祈りをしない」というのが原則になっています。

 

「え?じゃあ何をお参りするの?」と思われるかもしれませんが、神様への感謝やご報告、といったところでしょう。私は「いつもありがとうございます。今後とも何とぞ」というくらいに留めています。

 

その証拠に、内宮・外宮共に賽銭箱が設けられていません!

 

(夏にお参りした時、近くにいた人が賽銭を用意しようとゴソゴソしている様子を見て、前にいる警備員さんが「お賽銭の必要はありませんよ」と注意していました)

 

 

なお、初詣に行った時はさすがにお賽銭するのを止められないらしく、賽銭箱こそないものの白い布が敷かれていました。

 

 

「神宮ではお賽銭をせず、神様に感謝するだけなんだぜ」と言ったら、あなたはヒーローになれるかも…。笑

 

 

さてお参りも済んだし、おみくじでも引こうかな…

 

と思ったら、おみくじ売ってない…!!!どこ??!!

 

 

そうなんです。神宮にはおみくじがありません。

 

これは諸説あるのですが、神宮の見解としては「伊勢にお参りすること自体が幸運なことであって、吉凶は関係ない」という立場からだそうです。

あとは単純に私幣禁断なのですから、個人の将来を占うおみくじは不要だとも考えられますよね。

 

神宮さんは姿勢が一貫してて、カッコいいっす!

 

 

三ツ石

正殿の正面にある三ツ石

正宮の正面には「三ツ石(みついし)」と呼ばれる、注連縄で囲まれた石があります。

 

ここにお賽銭してるし!!笑

 

これは「川原祓所(かわらはらいしょ)」と言って、20年に一度行われる「式年遷宮(しきねんせんぐう)」の際、「川原大祓(かわらおおはらい)という神事が行われる場所なんです。

 

はい、わかります。混乱しますよね。笑

 

要するに、式年遷宮という一連の行事の中で、御神宝や神事に携わる人たちのお祓い・お清めをする場所だと思ってください。

 

 

(3)式年遷宮って?

 

こうなると式年遷宮をご紹介する必要がありますね。

 

式年遷宮とは20年に一度、内宮・外宮の正宮や別宮を含む社殿、および御装束神宝(おんしょうぞくしんぽう)と呼ばれる約700種・全1,400点以上の御神宝や神に捧げる衣装などを全取っ替えする、というとてつもない神事です。

 

どれだけ凄い神事かって言うと、神事全てを合わせると足掛け9年間、総事業費は500億円以上だそうで…「日本最大の祭り」との異名もあるのだとか…。ケタ違いです。

 

古殿地

正殿の隣に古殿地がある

式年遷宮が行われるたびに、正宮や別宮などは隣の敷地に新築されます。そのため、上の写真のように現在の社殿の隣に、必ず古殿地があるんです。次の式年遷宮では、こちらの土地に新たな社殿が築かれると言うわけなんですね。

 

この式年遷宮、最初に行われたのは持統天皇4年、西暦690年のこと。つまり1300年以上続いているという、モンスター級の歴史を誇る神事なんです!

 

式年遷宮の発案者は、持統天皇の1代前・第40代天武天皇。これって結構重要なこと。天武天皇は、それまでの「大王(おおきみ)」から「天皇」という名称へ変更した人物であり、古事記日本書紀の編纂を命じたのもこの人。「日本」という国名を対外的に使用したのもこの人。とにかく、現代につながる日本の基礎を築いた人なのです。そのうち特集します。)

 

 

それでは、続いて別宮へ…!

 

と言いたかったんですが、すでにこの時点でとんでもない文字数!!笑

 

 

読むのも疲れたと思うので、続きは明日の中編へ!!お楽しみに。

 

 

《中編へ続く》

  

himekuri-nippon.hatenablog.com

 

 

(参考文献)

神社本庁監修、扶桑社「皇室編集部」編『神社検定公式テキスト①「神社のいろは」』扶桑社, 2012

武光誠監修、柾朱鷺マンガ『マンガでわかる天皇池田書店, 2018

 

 

※本ブログの記事は、参考文献等の記載事項を基にして筆者独自の考えを交えて展開するものです。歴史的事象には諸説あるものが多いため、あくまでも一つの説として捉えていただきますようお願いいたします。